夢に付いた値札には最低賃金と書いている。

どんなものであれ、貴方が手に取ったその夢には値札が付いている。


彼の夢には"時給950円"。


彼女の夢には"月収18万円"。


あいつの夢には"時給980円(午後10時以降は25%アップ)"。


私たちは平日にそれを売却し、休日になると買い戻す。


そして休日を費やして、その夢を消費するのだ。


夢とは無料タダではない。


生きていくためには邪魔だと思うこともあるだろう。


だからその質屋には、年々在庫が増え続けている。


夢追い人よ、最低賃金で売り払った夢を買い戻し続けろ。


命を削り、日々を削り、金を削り、身を削り続けろ。


週末を費やした夢が、平日出勤となるその日まで。

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