心殺

 感動的な映画を観に行った。


 観客の何人もが感涙する中、私は泣けなかった。


 心が動かなかった訳では無い。


 この映画は何故感動するのか、一体キャラクターの何に心を掴まれたのか。


 心が動くよりも先に、理解しようと脳が命令していたのだ。


 どうやら私はもう、素直に作品を楽しめなくなったらしい。


 心が死んだのだ。


 いや、そうでは無い。


 私が殺したと言うのが正しい。


 感動するだけでは駄目だ。


 なぜ感動したのかを理解することで、創作者として一つ成長できる。


 私はまた一つ、歩を進めた。

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