Op.07「スペルマフル・ザーーメン」
文芸サークル「空がみえる」
スペルマフル・ザーーメン
1 ドビュッシー
結末を見失ってしまった。《羽根》は地面に落下し、縦横無尽の重力の下で
「テキサスへ行こうよ」と、《訃報》がしゃがみ込んで《羽根》に話しかけた。「テキサス……?」――《羽根》は頗(すこぶ)る胡散臭そうに相手を見上げる。今はそんな状況じゃない、声色にそう含まれていた。青の時代? 最後の最後で故郷に見捨てられたな……過剰な王道は却って異端審問の法廷に突き出されてしまうのだ。
「僕はアフリカがいいな」と、《羽根》は引き
ぐねぐね曲がった肉体の救世主が、四十八人の偶像に
急いでスクリーンを消しに、《羽根》が息を弾ませて映画館に舞い戻っていった。「ベルリンへ! ベルリンへ!」普仏戦争の勝敗は知っている癖に! 酒に溺れ溺れて娘は女優で酒に溺れて酒に溺れて息子は殺人鬼で、肉体の悪魔はまだ早い、アラベスク、月の光の
「戦争が始まるぞ!」結末に飢える《羽根》が叫んだ。「平和もかい?」《訃報》が緩急織り交ぜてウイスキーを味わいながら、「戦争が始まるぞ!」《羽根》はしつこく繰り返し、「平和もかい?」嗚呼、ウイスキーを飲み干してしまった、チョコレートで空を飛ぶ神父はどこの国の奴だったかなあ……反乱、反乱、内乱、「お兄ちゃん、戦争、始まらなかったね!」遂に《訃報》が痺れを切らし、「馬鹿野郎! 妹のつもりなら、そりゃあ映画版だろう!」怒鳴った。
《羽根》は今でも空白の最終ページを探し求めながら、日に何度も何度もシコシコと一人遊びに耽るのである。寝室の名前は? テニスサークルの女の子を追いかけ回してさ……みっともないよ、実は同性愛者なんだろう? 相棒じゃなくなったのかい? そうかい……「桃色
《訃報》は気晴らしに砂浜へ出てみた。露出狂の長い黒髪の豊満な体つきの女の子が、海に浸かって性癖の解放感に恍惚としていた。もう一人はきっと、図書館だ! 学校で告白して曖昧に振られたからって実の妹と生セックスする男のゴミクズは死んで、どうぞ。「嗚呼!」肛門に野菜を突っ込んで自殺してやる! 《訃報》は泣きじゃくって《羽根》に愁訴してみた。焚き火で着替えを乾かしている最中の《羽根》は、そろそろギターソロかな? 未だワンコーラスも過ぎていない、ごつごつした岩肌の壁には抜け毛で編んだ十字架をずらりと並べていた。
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Op.07「スペルマフル・ザーーメン」 文芸サークル「空がみえる」 @SoragaMieru
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