第2話 人物紹介

 まず、俺の名は誠人まこと──髙𣘺たかはし誠人。市立いちりつの学校に通う普通の小学4年生だ。苗字はよく、『高橋』と書き間違えられることが多いけど、梯子の『髙𣘺』だ。勉強よりも運動の方が得意──というか、好き。サッカークラブに入ってはいるけど、運動なら何でも好き。勉強は、算数が苦手になりつつある。夏休みの読書感想文は永遠の敵だ。友達はたくさんいて、そいつらには、基本的に『セイ』って呼ばれている。しかし、1人だけそう呼ばない奴がいるんだ。


 奴の名は、秀人ひでひと──御徒町おかちまち秀人。俺らのクラスの秀才。彼は、テストで90点以下をとったことがない。最も、小学校のテストなんてケアレスミスさえしなければ満点をとるのは容易なことのように思える。そのため、毒舌と運動神経の悪さから、勝手に秀才なんだろうと判断している。ちなみに、彼は読書家で、休み時間になると人との会話を避けるかのようにして本を読んでいる。これは俺の偏った考え方――“ヘンケン”っていうんだっけな、それかもしれないが。


 俺と秀に関する個人情報パーソナルデータは以上。俺らは得意分野が違う。苦手分野も違う。共通点はかなり少ない。家が近いわけでもなければ、親同士の仲が良いわけでもない。それなのになぜ、俺らはこんな場所、よりによってこんな場所にいるのか──。発端は2箇月前。とある平日の昼休み、俺が図書室に行ってしまったこと──いや、その日の朝、昇降口である物を見つけてしまったことから始まる。

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