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その通信は、調査隊と共に飛び立った移動拠点から発信されたものだった。
その頃、ある種のサイキック能力を持った者もまた、調査隊の拠点から発信されている信号をキャッチしていた。
イマジナリアン独自の規格、未知の精神であったため解読不能、最悪受け取った機材の破損かサイキッカーの精神崩壊や物理的な崩壊などの問題が発生したものの、高い能力を有したサイキッカー、あるいは解析装置によって通信の内容が判明した。
それは、生物の感覚で言えば救難信号だった。
「こちらは%%%301…救援を要請する。現在、われわれiatasuoytは、未知の上位存在に捕獲され改造を受け、戦略兵器群となり複数の世界と交戦。未知の技術により多くの世界を破壊した模様。調査不能。われわれ自身も反撃により破壊され、自由に身体が動かせられない。また、上位存在はわれわれを未知の空間に封印する模様。現在、かろうじて思考のみが可能であることを利用してこの通信を拠点に送信し、これより拠点だけをランダムに転送させる。この通信はpihsrehtomに送信が可能になるまで無差別に放出されるようにしてある。また、送信した後、その時点の拠点の座標も送信するようにしてある。未知の上位存在の調査能力は不明。逆探知能力も不明のため、このような方法を取った。また、例の漂流者たちの逆襲も考慮し、座標データはaranonomuremoy形式のanimednoy暗号で隠ぺいしてある。…最も、盗聴されていても、データまでは見れないと思うが念のためだ。何がこの通信を拾ってしまうか分からない。だがやるしかなかった。この通信を受け取ったら、ただちに###333レベルの人員を派遣し、拠点へ向かってくれ。拠点にはわれわれの調査データに加え、拠点の移動記録が保管されている。移動記録には、今から放つこの場所まで保存されている。ここに留まり続けているかは賭けだが、何か手掛かりが残っているかもしれない。急いでくれ、未知の上位存在は神格##$%%クラスだ。創造主レベルの存在だ。どうにか意識だけで抵抗しているがこれ以上は持たない、引きずり込まれるぞ、わかっている、最後に今いるこの場所の映像を幾つか送信する。ここだ、ここにわれわれはいる、あるいはいた。助けてくれ。これがいつ届くかもわからないんだぞ、黙れ、やらないよりマシだ、いいからデータを送信しろ、気づかれたら終わりだ」
「三体」。そう呼ばれる、謎の敵対的存在。
かつて存在した必ず三体一組で現れては無差別に破壊活動を行なっていた。
取り残されたものたちの多くは、この三体の攻撃によって世界を失っている。
三体は暴れ続けたものの、最終的には反撃を受けて倒されていた。
この通信は、その三体たちがイマジナリアンに向けて放った救難信号だった。
分かった理由は、イマジナリアンの調査隊が最後に送信した映像に写っていたものだった。
透き通るような青空に写る、とてつもなく巨大な空飛ぶ船。
それは「宇宙戦闘艦型三体」の一隻に数えられた「エクスカリバー・ワールドエクリプス」と呼ばれた巨大宇宙戦艦の形をした三体の一つだったのだ。
かつて倒されたはずの三体が生きていて、加えてイマジナリアンへ救難信号を発信していた。
何かに連れ去られようとしていたようだが、生きているということが重要だった。
だが、通信の通り彼らの拠点がある座標データまでは解析できなかった。
かつて三体に故郷を滅ぼされ、仲間を大勢失いながらようやく撃破した三体たちが、生きていて、ウェステッドと呼ばれる新たな脅威と共に現れたイマジナリアンというもう一つの脅威の仲間であった。
取り残されてもなお組織を結成して生きてきていたものたちにとって、これ以上にない最悪の情報だった。
サイキッカーたちは続報を、特にイマジナリアン側からのアクションを掴むべく神経を極限まで集中させた。
しかし、彼らの努力は虚空に消えるように、それ以降三体からもイマジナリアンからも何かが発信されることはなかった。
分かるわけがなかった。巧妙に隠された暗号から拠点の場所を知ったイマジナリアンは、ただちに救援部隊を編成。
普段は無作為に選んでいた転送先を座標が示している場所に固定し、その世界へと直接部隊を転送していたのだから。
それは名前を付けるなら、救助隊と呼ばれるグループとなった。
彼女たちは独自の姿を持ち、幾つもの世界での探索と調査を行ってきた、イマジナリアンたちにとってのベテランのような個体だった。
彼女達に課せられた任務は、調査隊の救助と事態の把握の二つ。
その為に必要と判断した行動は全て取るべし、という命令を受け、彼女達はその世界へと向かった。
仲間を救助するという、感情的な目的の為に。
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