第33話 僕が緊張なんてする訳がない!
「疲れた〜、勘弁してほしいよ」
「何か俊一君の周り楽しそうだったものね、ふふふっ」
そう言って僕の隣で微笑む立花さん。
昼休みに、僕達は二人で屋上に来てご飯を食べている。
健も誘ったんだけど、遠慮されてしまった。
「とんでもない。全く楽しくないよ!」
「嘘! すっごく盛り上がってたよね?」
そう話しながら、立花さんは楽しそうに笑っている。思わずその笑顔に誘われて、じっと見つめてしまう。
「ど、どうしたのかな?」
僕がジッと見ている事に気付いて、恥ずかしそうに頬を染めている。
あ、ヤバい! ジッと見ていて「うわっ、キモッ」て思われたかな?
「あ、ご、ごめん」
「う、ううん。そ、そんな事ないよ」
「………………」
「………………」
お互いに弁当の方に視線を落とす。
僕はこの雰囲気を何とかしようと思い、立花さんの方はどうだったのか聞いた。
「そ、そういえば! 立花さんの方にも女子の連中が集まったみたいだったけど、大丈夫だったの?」
「う、うん。色々聞かれたけど、まあ隠す必要もないと思ったから、付き合っているって話したよ。もしかして迷惑だったかな?」
不安げな瞳を僕に向けてくる。
「そんな事ないよ」
「ありがとう」
「え?」
何で? お礼なんて言う必要ないのに……。
「ねえ、俊一君? 良かったら……今度の日曜日にどこかに遊びに行かないかな?」
「えっ、うん。喜んで!」
「良かった〜」
立花さんはホッとしたような表情で僕を見ている。
「どうしたの?」
「いきなりだったから、断わられるかな〜とか思ったりしてたんだよ」
「まさか、断らないよ」
突然の誘いだったけど、僕は嬉しかった。
立花さんと遊びに行く日曜日。
僕は待ち合わせ時間の30分前には約束していた場所に着いた。
今日は、朝からずっと頭の中から離れない言葉がある。
デート。
これって、デートって言うものに間違えないよね。
そう考えるだけで、胸がドキドキしてしまう。
今日は休日と言う事もあり、待ち合わせをした場所には、カップルや家族連れがたくさんいる。
僕は待っている間、健に相談したりして考えていたデートプランを思い出していた。
健のデートプラン
「ふっ……まあ、相談するなら俺だな。お前は誇っていいいぞ! なぜなら、俺様こそデートの達人だからな! 一体何人の女を落としてきた事か……」
まあ……ぶっちゃけた話、この時点でかなり怪しいとは思ってはいたんだけど……。
「まずは、早めにデート場所に到着しておく! 待たせたら好感度が下がるからな!」
好感度? 聞きなれない言葉を耳にした。
「そして、相手の髪型や服装に関心を持ち、ちゃんと褒めておく。ここポイント高いからな! そして、デートする場所なんだが、話しをしながら映画館にでも行く! まあ定番だからな。で、映画を見終わったら、その映画の話しをご飯を食べながらする。ご飯を食べる場所はゆっくり話しができる場所を選んだ方がいいかもな」
あれっ? 何だ、心配しすぎたか? 以外に普通だね。
「最後はそうだな〜……この時点でうまくいってたら……決めておけ!」
ぐっと親指をつき立ててきた
誰が? 何を決めるの?
「おい俊一! あんま好感度が上がんなかったら、悪い事は言わねーからキス止まりにしておけ! それ以上先いこうとしたら、逃げられて次の日から口聞いてくんねーし、悪い噂が広まるからな! ったく、メンドくせー話しだぜ」
健のビックリ話に言い返してしまう。
「き、君、馬鹿でしょ! キ、キキ、キスなんてできる訳ないでしょ! な、何言ってんの」
今度は、健がキョトンとした顔で僕を見てくる。
「馬っ鹿だな〜お前は。俺のやり方に間違いがある訳ないだろ! キスまではいけるはずだぜ!」
と、何故か自信満々に言ってくる。
んな馬鹿な?! ご都合主義のゲームじゃあるまいし、そんな簡単に…………んっ?
「け、健……今まで話してくれたのって……まさかゲームの中での話しじゃ……」
「はあっ? んなの辺り前だろうが? 俺が人間の女とデートなんて面倒な事する訳ないだろうが!」
確かに健に相談したらこうなるよね〜。
しかし、それだと相談する相手がいないと言うのが現実なんだよね〜。僕の交友関係のなさに自分で呆れてしまう。
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