第2話

「ごめんなさい」泣きながら春子が言った。

明日から海外へ行く。親の仕事の都合で。


昼下がりの教室で

僕は独り立ち尽くしていた。

そこからどうやって帰ったのか覚えていない。




深夜、眠れずに家を抜け出した。

精神的な傷は目には見えない。

もし、可視化できたらどうだろうか?

失恋の傷は深い。

みんな知らないだけで、もしかしたらザックリ切られてダラダラ流血しながら平気なふりで働いている人もいるかもしれない。

それなら、今の僕は手足が散り散りになった無惨な姿だ。

僕は教室で爆死した。

僕は学校へ向かった。

僕の破片を拾いに。

いつもは電車で行く道のりを、自転車で爆走した。

真っ暗な河原を叫びながら走り抜けた。



「海外へ行くから」



それは春子の優しさだった。

今どき、海外へ行ってもインターネットでいくらでも繋がれる。

遠距離で恋愛してる人だっていくらでもいる。




春子が好きなのは秋彦だ。




僕は知っていた。

心の片隅で。


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