新たな戦影(The shadow of war)

ドキュメント世界大戦4(Report of report 4th)

BMの出現と魔獣の災禍は、どのような英知をもってしても防ぐことができなかった。

それは突然現れ、一瞬にして世界を覆いつくしたのだ。


一連の悲劇で合衆国が被った不幸は計り知れないが、その責任を負うことは誰もできない。

世界各国の指導者すべてが後手に回っていた。

誰もが等しく過ちを犯し、同時に最善を尽くそうと努力していた。


私が問題にしているのは、BMに対する戦争行為ではないと理解いただきたい。

もっと根本的なことだ。


あの当時、国家安全保障の原則に照らし合わせて重大な瑕疵があったのだ。

ここで思い出してもらいたい。

BMが出現する以前、我々は何に備えていたのか?

世界の脅威は何だったか?


極東では日本の侵略行為が続き、欧州ではドイツがロシアに侵攻していた。

両洋艦隊法でハワイには太平洋艦隊が駐留し、レンドリース法によってイギリスへ向けて物資を送り込んでいた。


皆さん、どうか誤解なきようにお願いしたい。

私は特定の国家や個人を糾弾しているわけではない。

私が言いたいことは、シンプルなことだ。


人類の脅威は、常に人類だったのだ。


BMの出現で、その認識が薄らいだのは否めない。

少なくとも、パナマ会議まで置き去りにされていたことは確かだ。


さもなくば、ナチスの反応兵器開発を許すことはなかっただろう。

もし連合国が早期にナチスの伸長に気づいていれば、

キューバ危機は発生しなかったかもしれない。


元国防長官ロバート・S・マクナマラ 1982年の公演より



棍棒を携え、穏やかに話せ

セオドア・ルーズベルト



我々は敵を絶滅する。根こそぎに、容赦なく、断固として

アドルフ・ヒトラー



大英帝国は永遠の友人も持たないし、

永遠の敵も持たない。英国が持つのは永遠の国益である

パーマストン



ああ、愚かな人間よ、ノアの洪水はまだ退いてはおらぬ、

優に世界の3分の2をまだ覆っているではないか。

メルヴィル 「白鯨」より



◇========◇

次話、本日投稿。

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