レッドサンブラックムーン -機密解除された第二次大戦における<異世界からの干渉>および<魔獣との戦闘>に関する記録と証言について-
ドキュメント 世界大戦3(Report of reports 3rd)
遠すぎた月(A Moon Too Far)
ドキュメント 世界大戦3(Report of reports 3rd)
―ドキュメント 世界大戦3(Report of reports 3rd)―
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USJCS 2301/301/53
統合参謀本部 機密答申文書
機密区分/ロイヤル
※以下の文書はプサイ以上の情報資格を所持する者のみ閲覧を許される
連合国対BM反攻作戦『エクリプス』の準備状況及び補正計画について
1)概略
本文書の内容は統合参謀本部によって承認され、作成された答申書である。本文書において『エクリプス』発動前における現況及び、発動後の所定計画の改定案の概要をまとめている。
具体的内容はオアフBMの消滅と
なお、本文書の作成に当たり、
2)各方面における現況
f-a)太平洋方面
オアフBMの消滅により魔獣の活動は沈静化に向いつつある。西海岸における魔獣との戦闘記録、および民間の船舶、航空機の被害報告は急減しており、本年4月における被害総計は6件に留まる。これは前月比の10%であり、同海域の脅威は払拭されたものと判断する。なお状況の変化に伴い、合衆国海軍及び
f-b)豪州及びインドシナ方面
新たなBM出現の報告を受けていないが、魔獣の目撃証言が依然として相次いでいる。これらは主に豪州ではグレートオーストラリア湾とタスマン海、インドシナにおいてはココス諸島より報告されている。いずれも
f-c)カナダ方面
オンタリオ州において広範囲にわたる魔獣の活発化が認められる。観測されている個体数は概算で2000体近くに及ぶ。これらはオタワBMより産出された魔獣群と推定され、一部群体において野生化し、個体数の増加が懸念されている。同地に対しては、『エクリプス』発動時、第一段階として英国軍による攻勢が予定されている(別紙参照)。
f-d)合衆国五大湖周辺
『エクリプス』の主攻正面区域である。同地の地勢により、正確な個体数は把握し切れていないが、緩衝地帯における接触頻度と航空偵察により、最低でも3000体と見積もられる。これらはデトロイトBMやシカゴBMなど五大湖周辺に現出している4BMから産出され、日々脅威を増大させている。『エクリプス』はこの脅威を恒久的に取り除くことを目的としている。
*特記事項
f-c及びf-dの旧都市部では無数のグールが観測されている。これらは1個体としての脅威は低いが群体として活動するため、全個体の
2)各国軍の編成状況
・合衆国
陸軍第6軍(J・パットン中将)は完全充足状態にあり、また第7軍(O・ブラッドリー中将)の部隊も月内には充足完了の見込みである。両軍は併せて12万に達する。これに陸軍航空隊4000機が支援戦力として加わる。
・英国
・日本
遣米軍の一部2万人が加わる予定である。同戦力は第6軍と協同し、オンタリオ方面へ投入予定となっている。抽出戦力の編成については、トーキョーの参謀本部では無く遣米軍司令部に一任されているとOSSの報告により判明している。これに伴い、同軍の司令官
3)五大湖周辺の敵勢力の個体編成
先述した通り概算であるが、これらは航空偵察と強攻偵察、及び現地レジスタンスよりもたらされたものであり、統合参謀本部は確度は高いと判断する。
・歩行型魔獣
小型ワーム及びバジリスク:1500ー1800体
中型トロール:300ー500体
大型ドラゴン及びヒュドラ:30ー50体
・飛行型魔獣
小型デビル:300ー500体
中型ワイバーン:200ー300体
大型ドラゴン:50-80体
4)『エクリプス』の補正において影響をうける各フェーズ
フェーズ1ー3まで影響なし。
フェーズ4において、■■■■(検閲削除)の輸送もしくは輸送時の護衛戦力の修正を行う。
IJNの有する新型艦船の投入を要請し、目標の破壊をより確実にする。
5)最高指揮官の変更について
本作戦指揮を執る予定であったD・アイゼンハウアー元帥が急病により、後送された。そのため統合参謀本部は後任としてD・マッカーサー元帥を推挙するものである。
*特記事項
ハリーへ、こんなときに倒れてしまい申し訳ない。
私の後任としてマックを当てることに対して、異論は無い。ただ彼は日本人に対して偏った見解を抱く傾向があるので、可能ならばあなたの権限で誰か補佐役をつけてほしい。
ドワイト・アイゼンハウアーより
※以上の文書はプサイ以上の情報資格を所持する者のみ閲覧を許される
…上記は2000年機密指定解除により合衆国公文書図書館にて公開された文書、その一部である。
当時の大統領ハリー・S・トルーマンへ統合参謀本部が送付したのは、『エクリプス』作戦発動の一週間前である。このことから、合衆国にとって本反攻作戦の発動が不可逆的なものであったと想像される。もし統合参謀本部が発動時期を延長し、人選及び敵勢力の分析に十分な修正期間をかけていたのならば『エクリプス』の結果は違ったものになったであろう。
大戦史叢書 第102巻より(2004年発行)
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「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し」
『孫子・謀攻』より
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次回2/12(火)投稿予定…のつもりでしたが、
せっかくの3連休なので明日2/11(月)に投稿します。
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