LEVEL37 / こんなはずじゃなかった
それだけではない。クラスに「龍」という名が付く名字は自分の
そんな経緯もあり、勇斗は龍造寺に対してあまりいい印象を持っていなかった。出席番号の都合上、
「アイツさ、ドラクエをまだクリアしてないんだって」
なるほど、と勇斗は思った。
成績優秀な彼のことだ。きっと例年の、「文学作品の」読書感想文であれば問題なく終わっていただろう。
だが、ゲーム感想文となると話は別だ。
きっとゲームより勉強を優先するであろう彼のことだ。逆に「課題ゲーム」が進まず、感想文を書けない状態であることは容易に想像がつく。
もっとも自分が杉田から教わった感想文の書き方であれば、そもそもゲーム自体をやる必要がないのだが……
「で、大橋は?」
「あいつの家、実はゲームないんだって」
いじめに
「じゃあ何で手を挙げたんだよ?」
今回、ゲーム感想文を書かされてるのは「賛成」に
「別に男子であっても、挙手しなければゲーム感想文の課題をしなくてもよかったはず……」
勇斗は自分が特別、国語力があるとは思っていない。しかしその時の玉野の提示した条件だけはしっかりと覚えていた。
「だってさ、手を挙げないと仲間外れにされそうじゃん?」
確かに、と勇斗は思った。あれはゲーム感想文を課題としてやるかどうかというよりも「
したがって男子に「俺はやらない」という選択肢は存在しない状況だ。仮にそんなことを主張して仲間外れにされるくらいなら、男子というグループの一員に入っていた方が安全だと判断したのだろう。
「なるほど。で、村中は?」
「夜の学校の校内を撮影したいって」
なるほど、夜の校舎を撮影すれば再生数を多く稼げる可能性は高い。しかし実際にそれが出来る機会なんて、実際にはほとんど存在しない。
仮にやるとすれば多くは「
再生数を稼ぎたいため、いわゆる「立ち入り禁止区域」に無断で入る。そして大炎上した
そんな状況の中、夜中の学校に「
「あいつ、課題は終わったのか?」
「いや、多分終わってないだろ」
彼は以前、試験期間中も「動画の
(大丈夫なんだろうか?いや、待てよ……)
例えば夜の校舎を「
「まあいいや。で、その7人で報告しとくけど?」
「了解。頼むよ」
▽
稔との通話が終了すると、勇斗は先程の玉野からの電話で着信記録に残っていた番号、即ち虎ノ口中学校に電話をした。
「はい、虎ノ口中学校でございます」
「あの、2年A組の龍崎勇斗といいます。玉野先生いらっしゃいますか?」
「玉野先生、ちょっと待ってね」
しばらくすると、玉野が電話に出る。
「もしもし、玉野だが」
「玉野先生、合宿の人数ですが」
「合宿か。で、何人だ?」
「7人です。自分と羽賀、佐田、当間、龍造寺、大橋、村中です」
「合宿の日程は?」
「23日から。2泊3日でお願いします」
「そうか、わかった」
とりあえず、合宿のメンバーと日程は
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