拝啓 自分のことが大大大嫌いな君へ。

蒼瀬まる

LETTER0

私は自分がすごく嫌いで嫌いで嫌い。


なんであのテレビでよく見るみたいに綺麗に整った顔が手に入らなかったんだろう。

なんで隣のクラスのあの子みたいに誰からも好かれるような生き方ができないんだろう。

なんで近くに住んでいるお姉さんのピアノみたいな特技とか才能とかがないんだろう。

なんでいつも一緒にいるはずの友人とこんなにもかけ離れているのだろう。





前世での行いが悪いだとか、親のDNAが悪いだとかそんなことはどうでもいい。

とにかく今の自分が嫌なんだ。





なんで自分はこんなにもだめな人間なんだろうか。

だめな人間だとわかっているのに変わろうと努力もしない、自分から行動しようとしない、こんな私はなんなんだろう。

自分を傷つけてそういう感情を表に表す人もいるけれど、私はそれも怖かった。痛いのも嫌だし。

そうやってぐるぐる考えた挙句、私は明日も劣等感と喪失感とどうしようもない心の痛みと共に朝を迎えるんだろう。





こんなことなら目覚めなければいいのに。

私はそんな朝をこれからも永遠に繰り返して生きていくんだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

拝啓 自分のことが大大大嫌いな君へ。 蒼瀬まる @aosemaru1126

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ