コゼットちゃん作成、チョコケーキ争奪戦


「おい、フィリップ、お前、さっきも食べただろう!」

「え? なんのこと?」

 口にチョコレートクリームをつけたまま、フィリップはケーキに手を伸ばす。

「あら、ワイズナーさま、召し上がられますか?」

「ああ、いただこう」

 入ってきたワイズナーにコゼットが声をかけ、さらにケーキをのせる。

「……お前、甘いの嫌いじゃなかったか?」

「そんなことは言った覚えがない」

 ジト目で睨むジニアスに、しれっとワイズナーが答えた。

「もう、ジニアスさま、意地汚いです。これはみなさんのぶんですからっ」

 その言葉に、ひょいとフィリップが立ち上がり、奥の台所から、チョコレートパイを持って帰ってきた。

「うわぁ、これも美味いねえ」

「……フィリップさま、それは……」

「チョコパイ、焼けた?」

 入ってきたレナが、フィリップの持っていたパイを凝視する。

「……そのパイは、レナに頼まれて、オーブンで焼いてあげていただけで、私のものではありません」

 コゼットの言葉に、フィリップが青くなった。

「フィリップくん、ちょっとお話があるのだけど」

「うわーん、ごめんなさーい」

 このあと、フィリップ君は、とてもとても高いワインを一本、レナに進呈することになった。

 レナのチョコパイが、誰あてだったのか、明らかになるのは、もうちょっと先のお話。

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