第67話 八卦見の家系
未だ
その血は薄れ、夜霧家は既に遠縁とも言えぬほど、遙かに遠い縁戚となり果てている。
いくら家系を顧みたところで、その栄光を夢見るにはあまりにも遠い過去の記憶。
その形を伝える者すら存在しない今となっては、彼らの目的を単なる〈八卦見の復活〉と捉えるのは危険すぎると言えただろう。
彼らの狙いは、もっと違うところにあるはずだ――。
先祖返りを色濃く受け、この世に生まれてしまった朝比奈家の三兄弟。
彼らの苦しみを物ともせず、夜霧はただその力を利用しようと付け狙う。
悠弥を手に入れた今、彼らはいったい何を画策しているのだろうか。
「
その響きは呪われていた。
空気を凍らせ、部屋の温度をさらに押し下げていくかのようだ。
部屋には、靖彦、
つまり、
「まさか、それだけ!?」
「悪いね、二人とも。噂には聞いていたけれど、善弥という覚が本当に実在しているとまでは知らなかった。……実際のところ、私も夜霧とは面識すらないんだ。あまりにも遠い縁戚だし、この家はもうずいぶん前から親戚縁者との付き合いを一切断っている。だから残念だけど、役に立ちそうな情報を与えてあげることはできない」
廉弥の不満はあっさりと肯定された。
善弥とは、夜霧家に仕える覚の名前だった。
年の頃は千弥と等しく、子供の頃にどこかから連れて来られた青年らしい。
夜霧や朝比奈の血を引くわけではないのに、覚の能力を持っていて夜霧家に仕えているという。
けれど、それ以上の情報は皆無だった。
「
捕らえられた覚は、逃げられないように両手両足を切られるという。
古今東西、それが人間に捕まってしまった覚が受ける扱いであり末路。
子供とはいえ、もはや人としての扱いを受けることはないだろう。
早く助け出さなければ、幼い身体に非情の刃が落とされる。
廉弥が焦るのも当然だ。
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