約束と終に至る日々の中で
ばんほーてん大王
第1話
どうやら世界はあと3日で終わるらしい。
にわかには信じ難い話だけれども、隕石群が地球へと向かっていて、どう対処のしようもなく、人類はただ終わりの日を待つのみとなっているようなのである。
ニュースでそう見たのだが、現実感なんてものは到底無い。
人類皆で俺を壮大なドッキリに引っ掛けてるんじゃないかとさえ思う。
何となく不意にあなたは世界が終わる最後の日何をしますか?なんて言う心理テストを子供の頃にやったのを思い出した。
結果は下らないもので誰にでも当てはまりそうなものであったのを覚えている。
さて、俺は世界が終わるまでに何をしようか。
頭を巡らす。
しかし、殆ど何も浮かんでこない。
それは当然といえば当然であった。
例えば、ある者は仲の良い友人、または恋人か、はたまた家族かと過ごすだろう。
他にも自らの趣味に最後まで没頭する者、ヤケになり犯罪に手を染める者、何も気付かないかのようにいつも通りに日常を送る者。
俺はこの今に至る人生において殆ど何も行ってこなかった。
友人と仲良く過ごすという事や恋人をつくるなどの人の幸せを享受してこなかった。
その結果が大学を早々と中退し、細々とバイトで得た金で煙草と少しの本を買い最低限の生活をする生きた死人である。
だが、ただ一つだけ記憶の片隅に存在する約束があった。
幼い頃に交わした約束。
彼女が覚えているかなんて保証はどこにもありゃしなかったが、俺はその約束を果たす以外にする事が無かった。
時計の針は丁度昼の12時を示していた。
俺は軽く身支度をすませ、木造建てのボロアパートに別れを告げ微かな望みへの第一歩を踏み出した。
約束と終に至る日々の中で ばんほーてん大王 @van_houten
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