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二人は大学の校舎をぐるっと一周して、中央通りに戻り、それから大学院の建物の前まで戻ってきた。
そこで葵は三田さんとお別れをした。
「お話に付き合ってもらってありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」三田さんは言う。
その別れ際、ふと気になって、葵は「あの三田さん。三田さんって、もしかして水川さんのことが好きなんですか?」と質問してみた。
葵のストレートの質問に三田さんはちょっとだけ驚いた顔をしてから、「……それは僕だけの秘密だよ」とだけ言って、葵に微笑んでから、大学院の中に入っていった。
一人になった葵は、それから中央通りを歩いて食堂に向かった。
雨は、なかなか止みそうにもなかった。
食堂にはそれなりに人がいた。
もしかしたら木野さんがいるかも? と思ったけど、そこに木野さんの姿はなかった。
葵はB定食を注文して、それを一人で食べた。
場所は窓際の席。
飲み物はホットコーヒーだった。
食事をしている際、葵はずっと窓の外に降る雨の姿を観察していた。
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