第16話 ロードバイク欲しい病にはあらがえない

 ロードバイク欲しい病というものがある。

 主にクロスバイクを乗り始め慣れた頃に発症するもので、ロードバイクが欲しくてたまらなくなる。

 それは今までしらなかったスポーツ自転車の世界を垣間見たせいもあり。

 サイクリングロードなどで颯爽と走るロードバイクを見てしまうせいもあり。

 ネットで調べた峠に挑んで心折れた時に「ロードバイクなら行けるんだろうか……?」と思ってしまうせいもある。


 FENICEのオレンジフレームが頭から離れなくなった俺はもう覚悟を決めてお店に行くことにした。

 とゆうのも、FNICEのフレームセットは2018年モデル。

 2019年モデルに変わっている現在、すでに在庫があるだけしかない。

 2019年モデルにもFENICEはあるもののフレームセットはなく、ましてやオレンジのカラーラインアップされてはいない。

 早く動かなければもう俺のサイズが無いかもしれない。

 手に入らなくなる可能性がある以上早く動かなければ。

 早めに上がれた仕事帰りにちょいと遠回りしてビアンキストアに寄って話をきいた。

 一応在庫はあったらしい、しかしサイズが問題だった。

 なんせ足が短く腕が長い俺の体形。

 クロスバイクを買う時も問題になったが、ロードバイクはさらに細かくサイズを見るらしい。

 ここらへんの店の違いかもしれないけど。

 脚の長さに合わせる47サイズ、腕に合わせると50サイズ。

 サドルを上げ下げしたりステム交換したり。

 しかしどうにもしっくりこない店員さん。

 せっかく買うのならばしっかりとサイズを出した方がよかろうと、バラ完で買うわけだから各部のパーツも最適なものを選べる。

 なので他店舗で行えるバイクフィッテイングを受けることを勧められた。

 では週末にでも行くという事でこの日はここまで。

 そして週末。

 電車でちょい遠出をしてバイクフィッテイングの出来るビアンキストアへ。

 パワーアップした身長を測る機械みたいなやつで身長から胴の長さ、股下の長さ(恥骨まで棒をグイーっと押し付けて図る)腕の長さ等々を測り、自分にあったジオメトリと欲しいフレームのセッティング表を貰って終了。

 基本は50サイズで良いらしいが、腕の長さだけなら53サイズになるという。

 ハンドル幅もステムもちょいと標準からずれることになる。

 下手に完成車買うとどこかで窮屈な思いをするところだったのでバラ完で都合が良かったのかもしれない。

 その足で注文に向かう。

 結果がプリントされた物を店員さんとみながら実物も確認しつつクランクやステム、ハンドルなどを順次決めていく。

 コンポは105。

 大まかな要望としてはロングライドとヒルクライムをしたいので快適性と軽量化。

 ギア比もヒルクライム向けに軽いものを選択しながら、ポジションだしに直接関係ない部分はちょっと奮発してカーボンなどに。

 だんだん店員さんのテンションも上がってきて会話も弾む。

「ホイールねえ、ゾンダかレーシング3か悩むんですけど」

「それは永遠のテーマですねえ」

「サドル問題……これも沼ですねえ」

「全体は黒でまとめてさし色に赤入れたいんですよ」

「お、いいですねえ!」

「んで、せっかくビアンキなんでどっかにワンポイントチェレステカラー入れたいんですよ」

「おお! いいと思いますよ!」

 なんだかんだで二時間くらいかかって全体のパーツ構成は決定。

 ではあとはよろしくお願いしますと退店。

 納車までしばらくかかるようだが注文はすませてしまった。

 クロスバイクを買ってから五か月。

 半年を待たずにロードバイク欲しい病に屈してしまったのは本当に予想外だ。

 このシリーズのタイトルも変える必要があるかしら?

 


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