第6話 念願のクロスバイクを手に入れたぞ

 ついにクロスバイクが納車された。

 その日は思いのほか早く起きてしまい、プリキュアからのスーパーヒーロータイムからのNHK将棋番組を見ながら予約した時間を待ち、店舗へ向かう。

 油断すると早足になる気持ちを落ち着けながらゆっくりと店へ。

 店内に入ると奥に注文していたクロスバイクがちらりと見える。

 しかし、店員さんは皆お客の対応をしている。

 なんとなく周りのロードバイクなんかを見ながらタイミングを見計らっていると、対応を終えた店員さんが話しかけてきた。

 待ってましたという気持ちを抑えて納車の旨を伝え、一通りの説明を受けて、問題なく受領からの出発。

 車体の軽いのでペダルが軽い、踏めば踏むほどグイグイ進む。

 にやける口元を抑えながら安全な速度で街を走行。

 そして近くの多摩川サイクリングロードへ。

 上がろうと思ったのだが、上がれる道がない。

 記憶だとすぐにスロープがあったのだが、記憶にあった場所よりも先に出てしまっていたようだ。

 仕方ないので並走する車道を走る。

 ここらへんは昔ジョギングをしていたころによく走っていたので道はよくわかっている。

 この先のコンビニ近くにスロープがあるのでそれで上がればいいやーとペダルを回す。

 コンビニで一回休憩して補給食に最適らしい羊羹などを仕入れようと思いながら走る事数分、なんとそこにコンビニはなくなっていた。

 ジョギングの折り返し地点に設定していたので間違いはない。しかしそこにスロープはあれどコンビニは無い。

 世の無常に動揺しながらもこれはサイクリングロードに上がるしかない。

 大丈夫、大丈夫。ちょっと疲れてきたかなーと思うけどまだまだやれる。

 そう自分に言い聞かせながらサイクリングロードを走り出す。

 風つよ! っつかロードバイク多! はや!

 ジョギングしてる人や散歩してる人も多い!

 それほど走りやすくないなーと思ったが、何より信号が無いし川べりは気持ちがいい。

 突然Uターンするジョギング人や広がり歩く若人などをかわしながら快調に飛ばす。

 大きな橋をいくつか潜り抜け、そろそろと対岸へ渡る。

 そこにベンチがあったので座って休憩することに。

 持ってきた水筒から麦茶を飲みつつぼんやりしてると猫が寄ってきた。

 そのまますぐにいなくなるかと思ったが、座り込み日向ぼっこの構え。

 よく晴れて日差しも暖かな、サイクリング日和だし日向ぼっこ日和だろうと猫の写真を撮りまくる。

 尻も痛くなってきたので目的地まではもう近いかなと猫を眺めつつマップをチェック、んーとあれ? 案外進んでない?

 思ったよりも時間がかかってるし距離も進んでない。

 フワッツ? なぜに?

 クロスバイクなら楽々で気づいたら20や30キロ進んでるんじゃねえの?

 初心者でも100キロは行けるとか書いてあったのになーとか思いながら時間を気にしつつスタート。

  


このあたりで疲れが見える始める。とゆーか太ももがだんだんしんどく。

目的地はまだかとペダルを回しながら進むと突然の砂利道。

よぎるパンクの恐怖。いくらタイヤの太いGRAVIERと言えどもこれはまずいと押して歩く。

道に迷いながらもなんとかコースに復帰してしばらく行った先に目的地の神社を発見。

お参りして交通安全お守りゲット。よし帰ろう。

帰りは日差しが直撃してまぶしかったり、わりとしんどくなっていたりハンドル握る手も痛くなったり、尻は限界だし。

立ちこぎなんかをおりまぜつつ「尻いてえ」とぼやきながらの帰り道。

途中休憩を挟みつつ、コンビニでどら焼きを食べたりしながらやっと見慣れた道に。

あと少しだーと思った時に後ろからチェーンの音。

ロードパイセンかクロスパイセンが抜かしにかかっているかなと左に寄ってみると現れたのは幼女先輩、俺と並ぶ。

はい勝ちー、大人が子供に自転車で抜かれるわけないので。

無いはずなんだけどなー。

幼女先輩早いっす。


家に帰ると太ももがやばい感じなっていたんでよーくストレッチしてサロンパス張りまくった。

走行距離は合計30キロちょい。

おかしい、クロスバイクはもっと楽に、30キロなんて長距離とも呼べぬ軽い散歩程度ではなかったのか?

なんで俺こんなにヘロヘロになってるの。太ももとか熱持ってやばい感じなんだけど。

と思ったけどあれか、あれは20代で体力があるスポーツマンの話なんだなーと思い至る。

インドアなアラフォーオタクの話じゃなかったんだなーと。

 この日はとっとと寝た、疲労回復には寝るに限る。

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