最終日と地団駄

第67話 最終日

 今日の日の入り時刻は16時28分27秒、らしい。

 現在時刻は15時27分、スタート時刻だ。


 「ドロシー、ルイーズ、お仕事だよぉ~、準備できた」

 「ゆたか、ちょっとだけ待って、おトイレ」

 「あ~、ルイーズ私が先っ」

 「急がなくていいから、いっといでぇ~」「「は~い」」


 「マリオンさん、すみませんが、今から30分後に、近くのパーキングで待機してて下さい」

 「はいっ、ゆたかぁ~」「止めて下さい、そう言うニュアンス」

 「わたくしは何をすれば良いのです、あなた」

 「・・・自分の部屋で独り寝してて下さい、絶対出てきちゃだめですよ」


 そんな顔しないで下さいよ。「・・・マリオンさんと車で待機して下さい」

 「じゃあ、はい」「何です、これ」

 「皆さんが使っているのと同じ無線機です」


 仕方ないなぁ~、えっと、同じグループに設定、スクランブルON。

 「はい」「有難う、あなた」ちゅっ。「「あーっ、ゆたか」」


 ラヴさんがちゅうするから、又二人の機嫌が悪くなっ、・・・なってないな。

 「良くないな、これは」どたどたどた。「ゆたか」「こっち来て」

 二人が手を引く。「どっ、どうしたのかな、あれはラヴさんが、うっ」


 ドロシーがキスをする。「う~~~ん」「ドロシー、長いぃ~」

 ドロシーが離れると。「今度は私」「はっう、…う~ん」「ルイーズ長いぃ~」


「マリィ~、二人があんな事するぅ~」「「えへへっ」」

 「ゆたか行くよ」「あっ、うん、マリオンさん後お願いします」

 「お任せ下さい、だんなさまっ」「ゆたか行こう」


 僕達は、予定より少々遅れて家を出た。

 初日以降、待ち伏せの前後30分の見回り区域、駅の北側、駅の南側をそれぞれA~Dの4区画に分割し、更に人が潜めそうな所の有る道を探し、3ルートを決め、この組み合わせ12通りを毎日巡る様にしていた。


 各組合せの道順は、量子デバイスを積んだ、キカイべーゼロワンこと、ジローに作成させた。

 その演算速度はすさまじく、パソコン経由でWIーFIに接続させ、地図データの取り込みが完了した直後に完了、事務所のプリンタに出力して来た。


 これはもう、使い倒すしかない。

今はメンテ用のUSBポートにWIーFI端末を常設している。


 ジローは、アルミ合金とチタンで覆われていて、ドロシーとルイーズが日曜大工用の電ドラで穴を開けようとしたら、マリオンさんが、『ローンがいっぱいあるんです、お給金が無くなると困りますぅーーーっ』と、猛烈な勢いで泣きすがるので断念、ガムテープで止める事になった。

 格好良かったジローも、一気に親しみやすくなった。


 そして見回りは昨日で一巡したので、今日はAの1から2回目の巡回をした。

 特に怪しい人物を見かける事も無く、時刻通りに待ち伏せをする公園に到着。

 「ヴ、ラヴ、あ、な、た、皆さん、聞こえてまして」

 違和感のあるコールサインだなぁ~。


 「ト、キャット、ゆたか、聞こえる」

 「トム、ストーム、ルイーズ、私は聞こえる、ゆたかは」

 「ち、えっち、ドロシー、ルイーズ、やっぱりこのコールサインやめよ」

 「トム、ストーム、今日で終わりだから、ねっ、ゆたか


 「ヴ、ラヴ、わたくしも良く聞こえてますわ」

 「ち、えっち、分かったよ、今日一日我慢するよ、でも、次に使う時は別のにしてよ」

 「ト、キャット、わかった~、考えとく」

 「トム、ストーム、私は、ゆたかの事、一番よく表してると思うの」


 「ち、えっち、ストーム、名前言っちゃだめだよ」

 「ヴ、ラヴ、ほんとですねぇ~、いちゃだめですよぉ、皆さん」

 「トム、ストーム、御免なさ~い」「ト、キャット、だめじゃんドロシー」

 「トム、ストーム、ルイーズも言ってるぅ」


 「ト、キャット、本当だ、御免なさ~い」

 「 「「・・・」」 」「はははっ」「皆言ってる」「ほんとだねえぇ~」


 「わあーーー、マリィー、皆が酷い事するぅーーー」

 「ち、えっち、ラヴさん悪かったです、冗談です、ちゃんと聞こえてます。単調な仕事ですから、キャットやストームと話をしてあげて下さい、お願いします」

 「トム、ストーム、御免んさい、ちゃんと聞こえてます」

 「ト、キャット、私も、御免なさ~い、ちゃんと聞こえてるぅ」


 「ヴ、ラヴぅ、うぅうん、有難うぅ」

 そこからは、僕の入る隙間は無かった。

 マリオンさんも参加して、ケーキやお菓子、洋服の事、赤ちゃんの事など、でもドロシーやルイーズ、ラヴさんもマリオンさんもを楽しそうで、聞いてる僕も嬉しかった。



 現在時刻は16時14分、そろそろドロシーと交代する時間だ。

 12月もなかばともなれば寒い、何か指先を温める物を買って行こう。

 と言っても缶ジュースぐらいだが。


 「ち、えっち、キャット、そろそろストームと交代だよ」

 「ト、キャット、わかった~」

 「ち、えっち、ストーム、準備して」

 「トム、ストーム、了解」


 「ち、えっち、キャット、缶ジュースでもいる」

 「ト、キャット、午前の紅茶、温かいのが良い、それから向かいに来てぇ」

 「ち、えっち、分かった、午前の紅茶持って行くから」


 「ト、キャット、んぶしてぇ~」

 「トム、ストーム、私もぅ~」

 「ち、えっち、分かったストーム時間になったら、迎えに行く」


 「わぁーいっ、あっ、ストーム、ストーム、了解」

 「ヴ、ラヴ、あっ、あの、わたくしは」

 「ち、えっち、ラヴさんはずっと車でしょう」「うっ、う~~~~~」

 「わっかりましたよ、帰りにぶってあげますよ」


 「なさま、旦那様、私は」「ち、えっち、・・・マリオンさん、車でしょう」

 「らぼー、ブラボー、置いて行きます」

 「ち、えっち、ブラボーは僕より鍛えてるじゃないですか」


 「らぼー、ブラボー、泣きますよ、良いんですか、泣きますよ、泣いちゃいますよぉ~」

 「ち、えっち、わっかりましたよ、んぶしますよ。ラヴさんの後で良いですか」

 「らぼー、ブラボー、ブッラボーーーーーっ」


 「ち、えっち、キャット、そっちに行ったら、無線機の電池入れ替えるから、僕が着いたタイミングで、電源を切って」

 「ト、キャット、わかった~、じゃあ午前の紅茶、後で良いから早く着て」

 「ち、えっち、すぐ行く」

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