秘密基地用ユニット

第63話 なんじゃこりゃあーーーーーっ

 これからも探偵業を続けるなら、やっぱり運転免許取らないとだめかなあー。

 公園から家まで、わずか数分で帰って来た。

 車があれば、尾行もしやすし、家族旅行にも行けるし、自営業なら車検も、税金もガソリン代も、経費で落として、まず免許を取らないと。


 あれ、あぁ~ぁ、やっと空いてる部屋に入居する人が見つかったみたいだ。

 引っ越し屋さん、もう帰るところみたいだ。

 何か工事もしたのかな、まあー、築31年だから、直さないと住めないよな。


 「皆さま到着で御座います。」

 「わあーーーん、ひっぐ。」

 「「は~い。」」

 「有難う御座います。」

 引っ越し屋さんと工事の車が駐車場を塞いでいる。


 「私は車を止めて参りますので、お嬢様をお願いいたします。」

 「はあー、まあ、仕方ないです、ドロシー、ルイーズ、良い。」

 「ほっとくわけにもいかないし。」

 「だよね~、何か凄く落ち込んでるしぃ。」

 「ではお願いいたします。」ばたん、ばたん、ばたん。


 僕達は泣き止まないラヴさんの背中を押して階段をあがった。

 「ドロシー、ルイーズ、気御付けて。」

 「わあーーーん、わだしもおーーー。」

 「・・・ラヴさんも気御付けて下さい。」

 「うぅん、ありがとうぅ。」


 階段が狭い、一列に並ばないと、引っ越し屋さんや工事の人とすれ違う事が出来ない。

 先頭の僕が扉の前に着いた、工事の人がお向かいの扉の鍵を閉めるとこだった。

 ドロシーやルイーズの声が漏れてないと良いけど。

 そのうち顔を合わす事もあるだろう。


 がちゃ、がちゃ、キィー。「ドロシー、ルイーズ、ラヴさん、入って下さい。」

 「「 「は~い。」 」

 「・・・まーぁ、いいか。」


 ばたばたばた。「私おトイレ。」

 「あー、わたしもうぉ。」

 「わっ、私もう~。」


 「ルイーズ、我慢できそう。」

 「でもはやくしてぇ~。」

 「ゆたかぁ~。」


 「ラヴさんは、急ぎですか。」

 「・・・我慢しますぅ~。」

 「ルイーズ、先に行って、替えのパンツいる。」

 「だっ、大丈夫だからっ。」

 ばたばた、ばたん、じゃ~。


 寒い中じっとしてたから、これは15分置きぐらいに交代させてあげないと。

 もう夕ご飯前だな、取り合えず、お茶を入れるか。

 体が冷えてるだろうから、熱めの茶にしよう。

 やかんに水を入れ火にかける。


 ピンポン、ピンポン。

 「ドロシー、ルイーズ、出てくれない。」

 「は~~い。」

 「あっ、ドロシー、ティーカップ出して、お茶菓子あった。」


 キッチンは狭くて食器棚を置くスペースが無い、だからすぐ横のリビングに実家からもらった物を置いている。

 「うん、ちょっと待ってね。」

 運ぶ量が多い時は食器や食べ物をワゴンに乗せて運ぶ。


 「ゆたか、ゆたかあーーーっ、こっち来て、早く早く。」

 「えっ、夕ご飯前だから、お菓子なか、・・・なんじゃこりゃあーーーっ。」


 家を出る前は壁だったところに、戦隊ものの秘密基地みたいな銀色、重厚じゅうこう、金属製の壁、暗証番号と網膜もうまく虹彩こうさい認証と思えるものが埋め込まれている、いや、壁ごと変わってる。


 この壁の向こうは、お向かいの部屋のリビングのはずだ。

 「ゆたか何それ、格好かっこ良い。」

 「ルイーズ、格好かっこ良いけど、出る時、元に戻さないといけないんだよ。」

 「うーん、素晴らしい、さすがは真法まのり家につかえる者達です。」

 後ろから、マリオンさんの声、内容は『私の仕業しわざです』と理解できた。

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