想定外、執事兼ボディーガード
第49話 想定外
翌日、大学を休み、二人と現場に行って、手順を確認する事にした。
その後、昨日約束したケーキとプリンを、皆で買いに行く予定だ。
その前に、
でも先に
つるるるっ、つるるるっ、つるるるっ、がちゃ。
「なぁんだよ、朝から。」
「あー、仕事が入ってさ、また講義を
「それなら、メールか線で良いだろう、わざわざ電話しなくても。」
「いやあー、今回受けた仕事がちょっと長くてなあ。」
「仕事、探偵のか。」
「そうなんだ、2週間ほど頼めないか。」
「なげーなあ。」「ねぇ~、ねぇ~てばぁ~。」
「・・・誰かいる。」
「まあーな。」
「チェックアウトまで頑張る。」
「分かった、わりぃっ。」
「待った、2万、ちょっと金欠なんだ、学校来ないんだろ、振りこんでくれ。」
「手数料込か。」
「手数料ぐらい持ってくれよ。」
「わかったよ、その代わり、4教科だ。」
「足元見るなよ。」
「困ってるんだろう。」
「しゃーねーなあ、俺の取ってるやつか。」
「材料とデジタル回路、電波法、それと英語Ⅱ。」
「えっ、お前英語、残してんの、それに電波法は取ってねえなあ。」
「何とかならないか。」「3万。」
「足元見るなよ。」
「安心して稼いで来いよ。」
「はやくぅ~。」「頼むよ。」
「分かった、じゃあ3な、メールで口座送ってくれ。」
「恩にきるよ。」がちゃ。
「
「ドロシー、何とかして、お願い。」
「もうぅ、仕方ないなぁ~。」
「ドロシー、私達が教えてあげれば、要らなくない。」
「ルイーズ、付き合いだってあるんだよ。」
「もうぅ、経費ばっかり。」
「ルイーズ、怒った時も可愛いよ。」ちゅっ。
「私もうぅ。」
「ドロシーが
「それより、二人共、おトイレ行った。」
「「うん、大丈夫。」」
「ラヴさんきっとまた来るよ、お金持って。」
「
「私もそう思う。」
「ふーん、じゃあ、リビングで迎え撃つ。」
「「うん。」」「寝室は今度、鍵付けて。」
「ふーん、そうだね、考えとく。」
僕達は、キッチンとリビングに敵を引き込み迎え撃つ事にした。
キッチンとリビングを仕切っている短い間仕切り壁を第一次防衛ラインとし、そこに二脚の椅子がセットになったカウンターテーブルとワゴンを並べる。
更にその奥に置かれたコタツが最終防衛ライン、ここを突破されたら僕が敵を押さえている間に、二人が外に退避する。
一応、依頼主なので、部屋に暖房を入れ、カウンターテーブルにお茶とお菓子を用意して置く、うん、完璧。
「今日は平日だし、まあ、ラヴさんも授業があるだろうから、夕方かな。」
ピンポン、ピンポン。「トランシーバーがもう来た。」
「あれは
ピンポン、ピンポン。「誰、
「違うと思う、二人共、迎撃態勢を取って、攻撃しちゃだめだよ、お客様だし。」
「「わかってるぅ~。」」
「・・・行ってくる。」
ピンポン、ピンポン。「はい、今開けます。」がちゃがちゃ、きぃー。
コートを着た学生服姿のラヴさんがいた。
「おはようございます。」一礼。
お
「え~っと、ラヴさん、・・・学校の方は。」
「はい、本日わたくしは、のっぴきならぬ用事があると、そうお伝えしてまいりました。」
学校も学校だな、それにしても今日は寒い、ラヴさんの吐く息が真っ白だ。
「・・・あーっ、寒いですよね、どうぞ」
「はい、恐れ入ります。」
えっ、靴を揃えてる、
「・・・あっ、あの、殿方に、その様に見つめられては、・・・わたくし。」
「御免なさい、どうぞこちらに。」
「あっ、有難う存じます。」
えーっ、遅っ。「何を企んでるんです。」
「わたくし、その様な事は致しません。」
「御免なさい。」
「いえ、・・・判って頂ければ何よりでございます。」
又、
「すみません、今日はこちらでお願いします。」
「はい。」
ラヴさんにはカウンターテーブルに座ってもらい、僕はワゴンを動かしてコタツの方へ移動した。
二人は部屋の奥、窓際に、二人と僕の間にはコタツ、そして僕とラヴさんとの距離、約1m。
僕はラヴさんに向かい合う様に腰を下ろした。
これは想定外だ、ラヴさんの座っている椅子の高さに目線が。
「・・・えっと、今日は。」
うーーーん、あんなに短いのに、見えない。
あれっ、見えない、見えないよ。
「「
「私達じゃなくて。」
「あの女のパンツが目的。」
この手はドロシーだな。
「違うよ
「違うならどうして真ん前に座るの。」
「だってドロシー、作戦通りだよ、うーーーん、作戦変更、ルイーズとドロシー、こっち来て。」
二人を僕のいる場所に集める。
「ラヴさん、窓際に行ってもらえませんか。」
「かしこまりました。」
ワゴンを避けて、リビングに入ると進んで窓際に行ってくれた。
僕はお茶とお菓子を移動させる。
ちょっと残念な気もするが、ラヴさんを部屋の奥に、これで二人は直ぐに逃げられる。
僕等はコタツを挟んで対面して座る。
「それでご用件は。」
「お支払いですわ。」
ラヴさんはコートを脱ぎ、手早くたたむと、それを横に置いて座っていた。
誰だよこの人。
そのコートから、封筒を取り出し、コタツに置く。
「どうぞ、お確かめ下さい。」
「失礼します。」がさがさ、ちゃりちゃり。
小銭、明らかに少ない。
「・・・これは、67866
「はい、わたくしは学生の身です、一度にお支払いするのは難しいのですわ。」
「しかし。」
「ご心配には及びませんわ、これより6日間、毎日お持ちいたします。」
「「毎日、ゆたかぁ~。」」
「仕方ないよ、トランシーバーもまだだし、支払方法について、話しをしなかった僕も悪い。」
用意して置いた領収書が無駄になった、書き直さないと、ぐぞ~、分割してくるとは、想定してなかった。
「すみません、領収書を取ってきますので、待ってて下さい。」
「「ゆたかぁ~。」」
「直ぐに変えて来るから、待ってて。」
「本当に直ぐにだからねっ。」
「一緒に行っちゃダメ。」
「領収書を持って来るだけだから、大丈夫だよ、・・・きっと。」
僕は急いで事務所に行き、領収書とボールペンを取り、直ぐ様立ち返る。
どたどたどた。「ドロシー、ルイーズ。」
・・・まっ、
いつもはそうなのに、今は彼女が光り輝いているが如く、
光の加減だろうか、頭の上に光の環が見える。
紅茶を飲むその
「おっ、・・・お待たせしました。」
「はいぃ~、お紅茶、大変
「「
こんな人は知らない。
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