第34話 聞き込み範囲

 ドロシーとルイーズが、洗濯物を干してる間に作った資料の地図に切り替える。

 これはさっきの地図に、公園を中心に聞き込み範囲を設定し、それを4分割、更にその1ブロックを三分割して担当区域を適当に決めた物だ。


 「ゆたか、この線で区切られた所を回るの。」

 「そうだよ、ドロシー。」

 「じゃあ、この緑の線と青の線と赤の線と、この赤い丸は。」


 「緑は聞き込みをする範囲、青い線は1日の聞き込みの範囲、赤はそれを3分割して、一人が担当する範囲、赤い丸は私立千波大学付属だ、ラヴさんの学校。」

 「これすっごく広い気がするんですけど。」

 「やっぱりそう思う。」


 「ゆたか、これどのくらい時間かけるの。」

 「見積りでは1日6時間、で帰って来たら、サクッと集計と報告ね。」

 「「ええぇ~。」」

 「お手伝い、してくれるんでしょう。」

 「「あい。」」


 「でも、これ一人の担当、絶対100軒以上あるよ。」

 「うーんとね、1軒平均5分、72軒が限界、移動時間とか考えると50軒ぐらいかなあ、まあ、昼間はお留守のお宅多いから、その辺りで見かけた人に名刺渡して聞いてみて、あっ。」


 机の引き出しから名刺を出す。

 「はい、二人の名刺、取り敢えず100枚。」

 「有難う。」

 「字があるだけ、デザインが悪い。」


 「そうかな、じゃあ、それが無くなる前に、二人でデザインして、但し、このロゴだけは変えない様にしてね、後は自由で良いよ。」

 「ドロシー、色々変えよう。」

 「うん、可愛いのにしよう、でもゆたか、歩いて回るの無理だと思う。」

 「そうだそうだ、自転車買って。」


 「僕もそう思う、ミーティングが終わったら、コンビニ行って、それから買いに行こう。」

 この辺りには銀行のATMが無い、自分のお金を引き出すのに手数料がいる。

 「服も買って。」

 「えっ、何で。」


 「ゆたかは私達のパンツを他の人に見せたいの。」

 「うぅん、全然、服も買いに行こう、本当に入金あるかな、初期投資凄いな。」

 「いいじゃん、お嫁さんがかわいぃ~く、なるんだから、ねっ、ドロシー。」

 「ゆたか見たい。」

 「見たい見たい。」

 「じゃあ行くぅ~~~。」

 「いっちゃうの。」ばちん。


 「痛い、とにかく4日間はこれ、最後の一日は、僕が報告書の作成で、二人は私立千波大学付属の通いの学生にアンケートを取って、百合ゆりさん以外に、被害に遭った子がいないか調べて、アンケートに、場所や時間帯とかも含めて。」

 「「Yes,sir」」

 「探偵だから、そう言うのはいいから。」

 「「あい。」」


 「じゃ、他に質問のある人、はい、ドロシー。」

 「三人、バラバラなんでしょう、ちょっと怖い。」

 「そうだもう一つ、スマホ、事務所名義で三台契約しといた。」

 僕の机に充電しておいたスマホとイヤホン、マイクを渡す。


 「はい、これ、そう言えば二人共、今まで使った事あった。」

 「私はママが買ってくれなかった。」

 「ドロシーは。」

 「分からない。」


 「じゃ、この後、使い方の練習も兼ねて、お買い物に行こう。」

 「ゆたか、モンブラン買って。」

 「昨日も食べたのに。」

 「私もう。」


 「二人共自転車には乗れるの。」

 「私は乗れる。」

 「ドロシーは。」

 「多分乗れる。」


 「じゃあ、ベイエリアまで行こうか、でも自転車に乗るのは服を買ってからね。」

 「「賛成さんせい。」」

 「ついでにお買い物もして帰ろう。」

 「「はあ~い。」」


 「他に質問のある人。」

 「ないです。」

 「ないよぉ~。」

 「それじゃ、お出かけしようか。」

 「「あい。」」


 僕達は、シーツと布団カバーを浴室に干して出かけた。

 乾燥は帰って来てからにする。

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