第30話 社会一般的対応、断り営業

 ここは社会一般的対応をしよう、相手は高校生、断り営業で。


 「そうですねー、・・・ドロシー、僕等の費用計算表立ち上げて。」

 「ぶうーーーっ、分かった。」

 「有難う、ドロシー。」ちゅっ。ん、つんつん。

 「ううう、わらひもぅ。」ちゅっ。

 「ルイーズも自分のパソコンで、計算に誤りがないか確認。」

 「ふむ。」


 「では、費用ですが、僕の所は、諸経費しょけいひ後日清算になります、基本料金が3万、調査料は、張り込み、尾行、撮影などですが、それぞれ1名、6時間、日数を5日、時給は一律1200、これは浮気調査などの場合です、この案件をお受けする場合、犯行現場を押さえる為、おとり、尾行、撮影、各1名、時給を一律3000とします、更に報告書作成料が3万、それと成功報酬を設定させて頂きます150万です、合計は183万、諸経費しょけいひ別になります。」


 「5日間ですか。」

 「そうです。」

 「ゆたか、あんまりなんじゃあ。」

 「全然、ドロシー、ルイーズ、二人の危険を考えたら、僕としては良心的だ。」

 どうだ、この金額は、高校生には出せない、完璧な断り営業、これで相手の方から断ってくるはずだ。


 「あのう、じゃあ、成功報酬を除いた33万で引き受けてくれるのですか。」

 「えっ、いやあーっ、それは。」しまったあー。

 「それじゃ、20間、更に捕まえて私に引き渡してくれたら、ボーナス50万。」

 「えっと、314万になりますよ。」

 「私、お金あります。」

 そう言えば、あの学校、お金持ちの子が多い女子校だった。


 「あーーー、それだけあればホームズ探偵事務所で引き受けてもらえます。」

 「さ、ら、にぃ~、『私を好きにしていい』券、20回ぶ~ん。」

 「ほう~っ。」

 「「ゆたか。」」


 『私を好きにしていい』券、20回分、・・・ わっ、分かってる、冗談だから、睨まないで。

 券はともかくとして、調査だけでも114万、手を抜く気はないけど、犯人が現れなければ、・・・悪い話じゃない。


 「しっ、しかし、見て下さい。」

 僕はプロジェクターで映し出されている表を指さす。

 「成功報酬を除いても114万と諸経費しょけいひですよ。」

 「お二人共、指輪、ありませんね。」

 「私、別に。」

 「・・・ちゃんと誓ったもん。」

 「お金、あったら買ってもらえるかもうぅ~~~。」


 じ~~~っ。

 堀を埋めるつもりかぁー、悪辣あくらつな。

 「分かりました、こうしましょう、まず5日間、どのみち情報を集めないと、それで有用な手掛かりが得られない時は、あきらめて下さい。」

 「では、何か手掛かりがあった時は。」

 「その時は、僕の作った報告書を持って、別のとこに行くか、改めて僕に依頼するかを決めて下さい、費用も改めて検討しましょう、これでどうですか。」

 「それで、お願いします。」


 「それじゃ、通常の捜査ですので、基本料、調査費用、報告書作成料、16万8000と諸経費しょけいひ別と言う事になります。」

 「これでよろしければ、契約書を作成します。」

 「はい、お願いします。」

 結局押し切られた。


 「ルイーズ、今の内容で契約書、作成してくれるかな。」

 「契約なら任せて。」

 「ドロシー、説明して上げて。」

 「分かった。」


 「えーっと、今回は妹さんに悪戯いたずらをしようとした人の手掛かりを探します、費用はこちらに表示されている金額になります、今から契約書にサインして頂きます、ご不明な点は遠慮えんりょなく聴いて下さい。」

 「何時から開始して頂けるのですか。」


 「入金の確認が出来た日から、準備が出来次第、調査を開始します、メールアドレスはお持ちですか。」

 「はい、あります。」

 「連絡はメールとお電話、何方どちらが良いですか。」

 「妹に黙っておきたいのでメールでお願いします。」


 「ドロシー、出来たよ。」

 「すみません狭くて、プロジェクター、片付けますので。」

 スイッチオフ、電源を抜いて、空いている机に置く。

 「ルイーズ契約頼むよ。」

 「あい。」さすが魔女、契約は慣れてるみたいだ。

 「依頼内容と条件に間違いなかったら、ここにサイン、あっ、認めで良いからハンコある、この国めんどうよねぇ~。」


 「ええ、寮住まいだから。」

 「じゃ、ここと、ここと、ここ、はい、完了。」

 「有難う御座います、初めての直接の依頼だ、早速準備を始めます。」

 「そうなんですか。」

 「始めに言った通り、僕、下請けなので、それじゃ早速聞き込みを始めるので、この後お時間ありますか。」

 「ええ、15時ぐらいまでなら。」

 「制服ですけど学校は。」

 「エスケープです。」


 「はぁはぁはぁ、それじゃ、僕のつ、つ、二人と色々話をしてくれませんか。」

 「僕は大学の午後の授業に行きますので。」

 「大学生の方だったんですか。」

 「ドロシー、ルイーズ、頼める。」

 「うん任せて。」

 「早く帰って来てね。」


 「ここ狭いし、向こうで、適当にお茶して、学校の様子とか、他に被害に遭った子がいたかとか、時間帯とか、服装とか、色々お話して。」

 「「分かった。」」

 「あっ、ラヴさん、僕のお嫁さんに手を出さないで下さい。」

 「だいじょ~ぶ、私から手は出さない、ださせちゃうからぁ~。」

 「僕の嫁に限ってそんな事はありません。」


 「あっちでお茶でもしてて、じゃ行ってくるね。」

 「いってらっしゃい。」ちゅっ。

 「行って来て。」ちゅっ。

 「ラヴさんこっち来て。」

 「おじゃましま~すぅ。」

 「こっちこっちぃ~。」

 がらがら。ちかしい年の子がいないので、話し相手になってくれるといいけど。

 取り敢えず僕は、大学に行こう。

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