第22話 土曜のお茶会

 お茶会は土曜の20時に始まった。

 と言うのは、時差があるからだ。


 ルイサさん所は、11時、ブランチの時間帯で、マーガレットさんの所は、朝の5時、お年を召しているので、この時間には目が覚めているのだとか。

 で、僕等は夕食を遅らせてデザート代わりに、ルイサさんはブランチ、エムおばさんは朝食と言う事になった。


 全員座るには、コタツが狭くて無理なので、僕はキッチンに置いてあるテーブルの椅子の一つに、そしてもう一つの椅子に、ルイサさんが手を挙げたが、ルイーズによって全力阻止された。


 その結果、コタツには、テレビのある側にマーガレットさん、その左側にドロシー、ルイーズ、ルイサさん、母さんと言う並びに座っている。

 母さんは、ドロシーやルイーズから引き離されたこの配置に、もの言いたげだが、マーガレットさんやルイサさんが居るので、一応いちおう我慢がまんしている様だ。


 コタツの上は、人数分のティーカップや小皿を置くと何も置けない。

 そこでドロシーとルイーズが、お布団を買うついでに買ったワゴンに、ティーポット(下部に)、天板には、マーガレットさんが持って来たアップルパイ、ルイサさんが持って来たチョコケーキ(王室御用達ごようたし)を置いている。


 アップルパイもチョコレートケーキも既に切り分けてあって、取り分けるだけなので、危なくないと判断したからだ。

 しかし、母さんが百貨店で買って来た栗羊羹は、一本丸ごとなので、食べたい人が発生すると切らなくてはならない。


 だがワゴンは天板を両側に引き出し、側面にある三角形の支えを出して面積を増やしているので、下向きに力を加える動作がある羊羹は危険と判断、キッチンに置く様にした。


 その他に僕がいるテーブルには、朝食用にサンドイッチが置かれている。

 でっ、今日のホストは僕達なので、ドロシーとルイーズがキッチン側に座り、お茶やお菓子の給仕きゅうじをしている。


 「私は朝ご飯にさせてもらうわね。」

 「私も遅めの朝食にするわ。」

 「里美さとみ、どうかしら、私の作ったアップルパイ。」

 「美味しいです、りんごもその下のカスタードも。」「嬉しいは、有難う。」


 「これを作るとね、どんなにねていてもね、ドロシーが寄って来て、ご機嫌きげんが直るのよぉ。」

 「そっ、そう、だったかしら。」「いやしん坊さんよねぇ~。」

 「ちっ、違うもん。」「はいはい。」「もうーーーっ。」


 「ルイーズは、少し違ったわ。」「ママ。」

 「ルイーズはね。」「ダメってば。」

 「おどしてくるの。」「止めてママ。」

 ルイサさんの口を押えようとするルイーズだが失敗。


 「おどすの、ルイーズ。」「しっ、知らない。」

 「それははもう、気難し子で、直ぐにねては、手足をばたばたさせて、『チョコケーキ買って来てえーーーぇ』、って、買って来るまで止めないの。」

 「売り切れて、パパが別の物を買って来たら、ばっんって投げつけて。」

 「ママ止めてぇ~。」

 「その時はさすがにパパも怒って、お尻、たれたのよねぇ~。」


 「ルイーズ、我がまま。」「おっ、覚えてないし。」

 「里美さとみも食べてみて。」

 「・・・うわぁ~何これ、美味しい。」

 「でっしょうぅ、里美さとみママ、これ、すっごく美味しいの。」

 「う~ん、これは駄々だだねたくなるのも分かる。」

 「でしょうぅ~。」


 「里美さとみ、この栗が入って、ねっとりした物も美味しいは。」

 「本当、栗が入っていて、お口の中で、・・・こう、ねばねばするお菓子、とても美味しいわ。」

 「羊羹ようかんって言うの、本当に美味しい、正直に言って。」

 「里美さとみママ、とっても美味しい。」

 「う~ん、美味しい。」

 「良かったあ~。」

 ドロシー、ルイーズ、気を使わせて御免ね。

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