第20話 鋼の精神

 そろそろ後期試験の準備をしないと。

 このまま、ドロシーとルイーズの可愛さにおぼれていてはいけない。

 せっかく探偵業を休止(依頼が全く来なかった)して、挽回したんだ、おのれりっしなくては。

 ・・・可愛いなあ~、二人共、しかも既にお嫁さんだ。


 単位を無事に収得しせしめた僕の鋼の精神。

 セメンタイトの様に硬かった、しかし、今は無い、・・・フェライトとどころか、もう固体ですらないのではないか。

 そう、気体、体積だけは大きい、ドロシーやルイーズの可愛さであっと言う間に形を変えてしまう。


 だあーーーーーーっ、どうする、いちゃいちゃしたい、でもそれじゃまた単位を落とす可能性が。

 あっ、今なら二人共、母さんと買い物に出ている、このすきに、コピーさせてもらった講義の動画を見よう。

 せっかく、北側の部屋を探偵事務所兼勉強部屋にしたんだし。


 『これがノイズとして、空間に逃げ出すエネルギーを級数で表した式です、よろしか、そうれで、この式からあー、第2高調波、第3高調波が。』

 なあーるほど、空間に伝搬して逃げ出すノイズの全エネルギーの内、第2第3。

 キィーィ。ん、ゲートから誰か来た。


 「こんばんわー、誰か居るの。」「あー、ルイサさん、こんにちは。」

 「ルイーズはいる。」「母さんと買い物に出かけてます。」

 で、何でネグリジェ、ブラしてないし、紐みたいなパンツだし。

 「あ~の~、その恰好は、ちょっと、又二人に怒られちゃうか、な、と。」

 「えぇ~、気になるぅ~、ルイーズいなあ~いしぃ~、ゆたかくん~。」


 見た目はめちゃめちゃ若い、まあ、実際若い、多分30前後。

 見た目が又若い、どう見ても20と2、3ぐらいにしか見えない。

 だから母さんと並ぶと、まるで娘。

 「ルイーズのママだし。」「ママじゃなかったら、良いのかなあ~。」

 近付いてきたあー、ルイーズとは違う、形容しがたい魅力が。


 がらがら、「「ゆたか。」」「ルイーズ、ドロシー。」

 「背中がぞわぞわすから、慌てて帰って来たら、ママ。」

 「ゆたかが、ルイーズのママと浮気したぁ~~。」「してないよ、ドロシー。」

 「ママ、その恰好は何。」

 「ルイーズ、又、・・・パパに、・・・浮気されたあ~~~~~あっぁぁぁぁ。」


 「えーーーっ、それで何で娘の旦那を誘惑する訳、訳分かんない。」

 「マッ、ママ、そんな事しれないよ。」

 「じゃあ、『ママじゃなかったら、良いのかなあ~』は何、聞こえてるし。」

 「・・・良いじゃない、ちょっとぐらいお裾分すそわけしてくれたてっ。」

 「いい訳ないでしょう。」「うわーん、ゆたかが浮気したぁ~~。」

 「ドロシー、そっち座ってて、もう、ママもそこ座って、ゆたか、リビング暖房入れて来て。」

 「Yes Ma‘am(イエス マム)。」「早くママから離れて。」


 「それで、今度は何処の誰。」

 「ねぇ~、ドロシーも聞いてぇ。」「何ですか。」

 「何処の、・・・うっ、泥棒猫どろぼうねこ、・・・うわあ~~~っ、わだしより、ひっぐ、十も上なのよぉー、・・・うぅーーーーーーうっうっ。」

 「えーっ、ルイーズのママ、こんなに若くて綺麗なのに。」

 「うえぇーへえぇー、ぐやじよぉ~ドロジぃ~。」


 「コタツとエアコン、入れたよ。」

 「ママ、ドロシーの服が汚れちゃう、取り敢えずリビングに行きましょう、ゆたか誘惑の件につて、尋問じんもんするから。」

 「マッ、ママ、何もしてない。」

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