第18話 ゲートオープン

 今僕達が主に使っているのはキッチン、リビング、その隣の6畳間。

 ここは一様、2LDKと言う事なので、今僕達の居る南側の反対、北向きの5.5畳の部屋がある。

 その部屋に半畳ぐらいの面積の収納が有るのだが、狭くて棚もないので、今まで使っていないのだ。


 「ママ、在るわ、あっちにもう一つ部屋があって、そこに狭い物置きがあるの。」

 「そう、じゃあ、ルイーズも来て手伝いなさい、で、ちゃんと覚えるのよ。」

 「あい。」「案内して。」ルイサさんとルイーズは、北の部屋に向かった。


 「ドロシー、こちに来て頂戴。」「エムおばさん。」

 ドロシーがおばさんの横に行った。

 エムおばさんは、横に座ったドロシーを抱きしめる。

 「良かった、本当に良かったわ。」「心配かけて御免なさい。」

 「いいの、もういいのよ、だけど、今度いつ来れるか分らないから、しばらくこうさせてね。」


 「いいなあ~、私もこんなのしたいぃ~。」「分かったよ母さん。」

 僕が母さんに近付こうとすると。

 「嫌っ、男の子は嫌っ、硬いし。」「なっ、何と。」

 「うーーーん、娘がいいのぉーーー。」何だよ、この人は。


 「ドロシー、どうしたの。」「おっ、おかあさん。」

 ドロシーが気を使って、母さんとおばさんの間に入り込んだ。

 「・・・お母さんて、呼んでくれるの。」「はっ、はい。」

 「でっ。」「でぇ。」

 「出来れば、ママ推奨すいしょう。」

 ドロシーがエムおばさんを見る。「ドロシーの思う様になさい。」

 「里美さとみママ。」「ドロシーちゃん。」ひっし。


 「んんんんん、これよこれ。」さわさわ。

 「いいなあ~、娘最高。」さわさわ。

 「あっ、あの、ママ、お尻、お尻。」

 「母さん。」止めないと、パンツの中に手を入れそうだ。

 「あーもう、元気な赤ちゃんが産めるかチャックしようと思ったのに。」

 「嘘だ、ドロシーに触りたかっただけだろう。」

 「ちがうもん、娘を抱擁ほうようするのは、ママの特権とっけんだもーん。」

 僕も思わず、立ち上がってしまった。


 「ドロシー、母さんに不用意に近付いちゃダメだ、何故か娘に過剰反応するんだ。」

 「良かったわ、ゆたかさんのお母様が良い方で。」

 確かに、息子の僕も思うよ、これさえなければ、本当に良い母さんだ。

 ルイサさんとルイーズが帰って来た、二人はそのままキッチン側に座った。

 ルイーズも久々に会った母親に甘え気味だ。

 僕は元の位置に戻り、テレビのある方から、エムおばさん、ドロシー、母さん、ルイーズ、ルイサさん、僕と言う順になった。

 しかし、ルイサさんはルイーズより随分と大きい、うーん。

 おっ、ドロシーとルイーズが睨んでる。


 「奥様。」「マーガレットで良いわ、私もルイサでいいかしら。」「ええ勿論。」

 「あっ、あの、私も里美さちみと呼んで下さいませんか。」

 「ええ、ええ、勿論よ、里美さちみ。」

 「私もそう呼んでも。」「是非是非。」

 「じゃあ里美さちみ、私達はそろそろおいとまするは。」

 「泊まって行かないの。」

 「ええ、今ここと私の家にゲートを繋いだから、いつでも来れるから。」

 「えー、そうなの便利。」


 「それでマーガレットのお家には、使われない物置きとかないかしら、あったらそこにここと繋がるゲートを開こうと思うの、そうすれば何時でも、ドロシーちゃんに会いに来られるわ、どうかしら。」

 「そっ、それは是非お願いするは、でも魔法には何か代償だいしょうが必要と聞いた事があるわ。」

 「そうね、髪の毛を一本、にえとして頂くわ。」

 「髪の毛で良いのなら是非、お願いするわ。」


 「じゃ、ドロシー、髪の毛頂戴。」「私のも。」

 「うん、今繋いだのは、私とママ、次はドロシーとエムおばさん。」

 「こっち側は、ドロシーの髪の毛を使って私が、エムおばさんの側は、ママが行って、エムおばさんの髪の毛で、そうやってお互いを繋ぐから。」


 「それじゃ、ドロシー、帰るわね。」「エムおばさん、また来てくれる。」

 「ええ、直ぐに。」「出来れば週末が良いな。」「まっ、この子たっら。」

 「ダメなの。」

 「そんな事ある訳ないでしょう、必ず来るわ、お茶をしましょう。」

 「りんごパイが良いわ。」「まあ~、お嫁に行ったのに随分と甘えん坊ね。」

 「お茶は用意しとくから。」「はいはい、皆さんもどうかしら、お茶会。」

 「私来ます。」「ルイサは。」

 「私も勿論、あーでもマーガレット時差がある事忘れないで。」

 「はい、了解。」

 お茶会が決まった、何か居づらいなあ、ここはバイトを入れよう。


 「ルイーズ、チョコレートケーキで良いわね。」「それ、それがいい。」

 何、僕を見られても分かんないよ、ひもじい思いをさせてたんだし。

 「・・・私も何かお菓子持ってきます。」

 仕方ないよ、母さん、実母にはかなわない。


 「ゆたか、エムおばさんを送って来る。」

 「私もママを送って来る。」「じゃあ、僕も。」「私も行きます。」

 で、玄関ではなく、北側の部屋に皆やって来て、ルイサさんとマーガレットさんを半畳ほどの物置の前まで見送った。

 扉には付いていなかったダイヤルが付いていて、これで行き先を決めるらし。

 「ルイーズ、ちゃんとしてね。」「わかってるぅ。」

 「ルイーズ、携帯持ってる。」「ママ買ってくれなかった。」

 「そうだったかしら。」


 「ゆたかさん、携帯持ってます。」「ええ、ありますよ。」

 「それじゃあ、番号を教えて貰えます、マーガレットの準備が出来たら、電話をします、同じ時に行った方が良いので。」

 「分かりました。」僕は携帯番号を教えた。

 「ルイサ、後で私にも教えてね。」「ええ、勿論。」

 「まずマーガレットの家の近くのゲートに出ますから、先方には連絡してあるので。」

 そう言って、二人は物置に消えた。

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