第10話 魔法使いの弟子曰く

 「・・・御免、ドロシー、緊張きんちょうして、おトイレ行きたくなっちゃった。」

 「あー、私も。」「ちょっと、二人は入れないから。」ばたん。

 「御免なさい。」


 「おい、色男、あっち行って、姫君達を待ってようぜ。」

 「そうだね、それが良い、僕も緊張きんちょうしちゃう。」

 「ブリキもトイレに行くのか。」

 「案山子かかし、セクハラは止めてくれない。」

 「ガゥ。」「わん。」「だろう、二人からも言ってやってよ。」

 「ブリキはトイレ、行かないの。」

 「あのね、ゆたか、そう呼んで良いかな。」「ああ、良いよ。」

 「あのね、ゆたか、君の目玉はトイレに行くのかい。」


 「・・・案山子かかしが悪いな、うん。」

 「だろう、案山子かかしはさ、いっつも僕等に心無いセクハラをするんだ。」

 「心が無いのはブリキだろ、俺にはある、知恵がないだけだ。」

 「そうかな、僕には、君達が色々持ってるように思えるけどな。」

 「そんな事はなよ、僕はね、これからドロシーとルイーズが、ゆたかとどんなに激しくからみあっても、全く動じない、鋼の精神を持てる。」

 「ほら、自分で心がある(鋼の精神)っていてるよ。」


 「あー、本当だね、あっ、待って、心と精神って同じなの。」

 「案山子かかしに聞いてみたら、そしたら案山子かかしに『知恵』があるか、わかると思うよ。」

 「案山子かかし、心と精神って同じなの。」

 「うーーーん、一部の辞書には『人間の心。また、その知的な働き。』と書いてあった様に思う。」

 「ほらね。」「魔法使いに合わなくても、弟子でいいのか。」


 「ふっふん、僕は今日、弟子ではなくなる。」「そうなのか。」「そうだよ。」

 「わあー、ゆたか凄ーい。」

 ドロシーが腕に抱き付いてきた。

 おー、弾力だんりょくのあるものが、その中に圧力の高い小さなものがある。


 かちゃ。「あーーーっ、ドロシー、早くおトイレ。」

 「うううん、分かった、・・・先に行かないでね、ねっ、一緒に。」

 「いいから、早くいっちゃて。」

 「ゆたか、一緒に行くんだからね。」「うん、一緒に行こう。」

 ばたん。「ねぇ~、ゆたか、私と行っちゃおうよぉ~、ねぇ~。」

 ルイーズが腕に抱き付いてきた。


 おー、この弾力だんりょく、つんつんする小さなものが。

 「ダメだよ、ルイーズ、ドロシーとも一緒に行くって約束しただろう。」

 「良いでしょう、私と、行っちゃおうよぉ~。」

 かちゃ。「ルイーズ、聞こえてるから。」「ドロシー、ちゃんと拭いた。」

 ばたん。「もうーーーーーーーーーーっ。」

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