Q16 「地球を握りつぶして」のリリアーヌのイメージはどこから来ているのですか?
という趣旨の質問を最終話のコメントで頂いて回答していたので、これはここに載せるべきなのではないかしらんと思い立ったので、コピペします。
イメージ、イメージですか……。うーん、どこまで答えになっているかはわかりませんが、一応回答としては以下のようになります。ご査収ください。
まず影響を受けた作品という意味であれば、リリアーヌに対する認識がバグるという根本は、沙耶の唄から最も影響を受けているのかなと思います。あとはバグに対する比喩表現は児玉まりあ文学集成(特に1話)着想を得ており、その意味で影響が大きいです。
リリアーヌを生産するまでの過程という意味であれば、本作はハッピーエンドをテーマにした自主企画の参加作品であるところ、ハッピーエンドというには小説終了時点でその後何が起こっても主役の幸福が確定しているという状態があってハッピーエンドだろうと考えてみました。すると、人間だけでは幸福不変状態を作出するのは困難であるから、人智を超えた存在が必要だなとの結論に至りました。私は高次存在ないし神に対しては山本弘の神は沈黙せずのある種冷淡な感覚が一番親和的なのですが、それだと主人公と手を取り合うことができないので、もう少し人間に寄せてという感じです。そして、高次存在なら、人間がそもそもちゃんと認識できなくてもおかしくないということでラディカンスペルクのリリアーヌ誕生です。
これまでにも「アルファ発条」のような人間より高次な人外を出し、姿形を変える存在は「スベスベマンジュウガニ」でやったことがあり、認識のバグは「ディストピア感」や「亀山商事」でやったことがあったので、作者内部的には新しいことをしたというよりこれまでやってきたことを組み合わせた感覚が近いです。
個々の表現という意味ならば、意味不明な造語を作る(素浪湾、時臓、パオスケジュル、ルロルロした、渦波色に左座めいたなど)、適切な形容詞や動詞を使わない(暖かい砂利色、肋骨あばらぼねのように正義漢溢れる音楽を窶した、ぐろぐろと美術館めいた猛笑を浮かべた)、ありえない身体的特徴を描写する(素浪湾を開胸し、千の口で盛大に囁く(それなのに嘴という表現が後で出る)、無数の触手でほろほろと羽ばたいて、第三眼球をくるりと回転させて、)などなど、意図的にしっちゃかめっちゃかになるようにしています。ただ、2話のラストで手を振る善一に対し「繊毛をそよそよとふり返し」と普通な反応の描写をし、さらには3話で距離が縮まったときに「リリアーヌは快活な少女のように悪戯っぽく笑った」と人間的なリアクションを挿んで4話でリリアーヌが人間として認知されるまでのつなぎとしています。
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