二人が告白して、一カ月後の九月中旬『聖なる風』にて。


 この日が入口に店休日の看板をかけ、とあるイベントを開催している。

 それは、二人の結婚祝いのパーティ、本日ばかりはローグも白いタキシード、シノはウエディングドレスを纏って参加している。

 そして、そのパーティでは……。

 

 「わーいわーい!」

 「マナ、落ち着け! 今日はめでたい日なんだ、な! 頼むからお姉さん達の言う事を聞いてくれ!」


 笑顔を浮かべ、店内を走り回るマナと、それを止めようとする、コトネ。


 「しかし姉さんが結婚するとはな……異常だ……」

 「いや、異常なのは君もっスからね。 目の前でピリピリした赤い液体を飲んでいる君もっスからね」

 「いや、だから僕は桜井キョウスケと言う名前が……」

 「そうじゃなくってっスね!」


 相性が悪いのか、言い争いをするアズサとキョウスケ。


 「リーンちゃ~ん! この前の頑張り、素敵だったわよ~! 私、気に入っちゃった!」

 「あはは~、そんなキョーコも大好き! みんな大好き、アタシ幸せ~」

 「「ぎゃはははははは!」」


 酒瓶片手に二人仲良く肩を組み、ワイワイ騒ぐリーンとキョーコの二人。


 「立花君、私、幸せですよ~」

 「シノ、分かったから、この連中の前で、頬を擦り付けているのを見せるのは恥ずかしいと言うかだな……」

 「立花君がそういうなら、仕方ないですね~」

 「だからと言って抱き着くな、あと……背中にだな……、当たってるからな……」


 そして、以前と違ってベタベタ甘えるシノとやや照れ臭そうにするローグの二人、ただそれでも幸せな空気は十分伝わってくる。



 この瞬間、有史以来初めて『聖なる風』と言う店名にふさわしい空気が流れ、リーンがやってきた日と違いオール・ユー・ニード・イズ・ラブが似合う雰囲気になったのではないだろうか?


 そんな空気を作り出す原因に至ったのは、きっとリーンちゃんやマナちゃんがいたからこそだろう。

 彼女たちが居なかったらあの二人が結婚することも無かったかもしれないし、もしかしたら、シノちゃんとキョーコの再会も無かったかもしれない、コトネちゃんの論文はまだ決まってなかったかもしれない。


 そう考えれば彼女たちの存在に感謝せねばならないだろう。

 俺はそう思いつつ、素敵な空間へ足を踏み入れる為ドアを開ける。

 お祝いのケーキピザを持って……。

 (ピザが大好きな変態刑事 38歳)

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