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さて、少々時間を戻して……。
コトネとリーンがコテージ前についた時の事。
「リーン、隠れろ……!」
コトネのその一言と共に、リーンは手を引っ張られ竹林に潜り込む。
「一体どうしたのよ、妹!」
「シー……、アレを見ろ……」
「あ、アレはローグさんじゃない……、それにシノ……!」
「ローグさんらしい言い方で表現するなら……。 『不器用男と電気女の茶番劇が起きそうだな』って言うべきかな……」
「違うぞリーン……。 『言葉の暴力で殴り合う二人が、言葉の暴力以外の交流しているとは、明日は雪が降るな……』っと兄なら言うだろう……」
「なるほど……、あ、これならどう? 『デートと言う言葉から、大変ほど遠い奇妙な関係の二人が一緒に出かけていくなんて、コレは天変地異が起きるかもしれない……!』って言うのは?」
「なかなか良いなリーン。 だが待ってくれ、今思いついたが『人型ゴリラと喧嘩する趣味を持つ男が、ツンデレ電気ウナギに拉致られている、これは新たな生命体が生まれる前触れだな……!』の方がしっくり来ないか?」
何故か、この状況をローグならどう言うか?というお題で、互いにヒソヒソと発表する中、竿と袋を持ったローグと手ぶらのシノは、コテージを離れどこかへ向かっている。
それに気づいたリーンは。
「確かに……ってちょっと待って妹! 二人がどこかに行くわよ! 急いで追いましょう!」
と言って竹林から飛び出そうとするが。
「待てリーン、一つ思いついた!」
「へ? 何を?」
人差し指を天に上げ、真剣な顔をしたコトネには何か案がある様子。
そんなコトネに、やや間抜けに見える顔をリーンは向ける。
「あの二人は何年も付き合いがあるのに、ロマンスと無縁な人生を歩んでいる訳だ。 そこでリーンが恋のキューピットとなり、二人をくっ付ければスライムのイメージもアップ、ついでに時期先輩にその様子を見せれば、論文も進んで一石二鳥になる訳だ!」
「……一石二鳥?」
「……つまり、一つで二度美味しいという事だな。 身近で例えるなら、兄が大好きなハーフアンドハーフのピザ。 つまり、二種類のピザ合体して一つになったと思えば良い」
「なるほど! 一石二鳥の意味、何となく分かった気が……って二人が見えなくなるわ!」
「よし! 私はマナの面倒を見ている、リーンはアズサ時期先輩を連れ出して上手くやるんだぞ!」
「分かったわ!」
そして二人はコテージへ走り出し、中へ入ると。
「い、一体何なんスか!? せっかく二人でレトロゲームをやっていたんスよ! と言うかリーンさん、腕を引っ張らないでほしいっス!」
「妹、マナの世話は任せたわよ!」
「リーン、上手くやるんだぞ!」
コトネはマナと交流言う名の世話を開始し、リーンはアズサの腕を引っ張って一石二鳥の計画に拉致するのであった。
(今考えたら、何なんだこの計画……。 うむ、私も一時のテンションで可笑しな事を口走ってしまったな。 うむ、反省せねば……)
その後、コトネはそう思いながらもマナを奥の部屋に連れて行き、自身はマナのおやつの準備をするのであった。
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