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ローグは今、歩きながら何ともいえない思いに襲われていた。
と言うのも。
「……でさ、この油の花を人間や魔族の男性が飲むと、何でもかんでも揚げて食べようとしてしまうの!」
「……それでさ、このカミカミ草を男性が食べると、しばらくの間、カミカミになって相手に言葉が伝わりにくくなるの!」
リーンが例に挙げる植物は、そろって男性限定で何か良くない事が起きる植物であり、逆に女性には。
「この油の花を人間や魔族の女性が食べると、お肌がすべすべになるの! だから市場で大人気なのよ~」
「女性がカミカミ草を食べると、その食感から満腹中枢が刺激されてお腹が減りにくくなるの!」
と、いい効果しか起きない為である。
その為、ローグは。
「お前の世界では、植物も男女差別をするのか?」
と尋ねてしまう。
するとリーンは「失礼ね!」と口走ると、一指し指を天に向けその理由を説明する。
「だって男性は武器なんかの扱いに長けるけど、魔力は低いんだもん。 だから魔力の高い女性と違ってそんな症状が出るの!」
「何だか分かったような分からないような……」
だが、そんな説明で完全に理解できず、ローグはうーむと考え込む。
そんなローグとは対照的にコトネは理解したような顔でローグに対して自信たっぷりの鼻息をぶつけるのであった。
「ふふん! 兄よ、こんな簡単な事が分からないのか?」
「何だか微妙なんだよ、分かったようで分からないようでな……。 お前は分かったのか?」
「当然だ!」
「なら言ってみろ、コトネ」
「ならば、しっかり聞くがいい、私の完璧な説明を! つまり、脳筋のせいで魔力が無いのが男性、知的で大変美しく、そして魔力を持つのが女性であるわけだ。 そして、魔力がそれら植物の毒を防ぐ壁になるから女性には悪い症状が起きないと……」
「おい、男女差別だぞ……」
「む、ならば言い方を変えよう。 知的で大変美しく、そして魔力を持つのが女性、マンドラゴラやマタンゴみたいなのが男性と言う……」
「マンドラゴラやマタンゴの話は止めろ!」
だが、その説明に不適切な存在が口にされた時、ローグは叫び、その説明を終了させた。
そしてそんな会話を聞いていたリーンは。
「やるわね妹……、私の言いたかった事をすぐ把握するなんて……」
笑みを浮かべ、そう口にする様子から、どうやらコトネの解釈は大正解であったようだ。
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