「兄よ、どうするんだ? かけていいなら電話をよこせ。 私直々にかけてやる」

 「ぐ、だが俺がそう言ったと言わなければ、お前が冷たい目で見られるだけだぞ!」


 その言葉はローグのとっさの一言だった。

 その言葉を吐き終えた時、ローグは自分が優勢にたったのでは?と考える。

 だがそれは一瞬の出来事だった。


 「ピザの上に、ハーブがたっぷりあるじゃないか? どう考えても前菜のサラダだろう? お前は一体何を言っているんだ?」


 コトネが懐から取り出したスマートフォンからそのような音声が流れる。

 おかげでローグの冷や汗が止まらない、目の焦点がぶれる、冷静さを欠いているのは見て取れた。

 そんなローグにコトネはとどめを刺す。


 「どうする? 今謝って、共に暮らすマンション内での生活態度を改めるなら、見逃すが?」

 「お前、要求が増えて……!」

 「兄よ、どうする?」

 「ぐ!」


 そして、ローグは頭を下げて「すまなかった」と謝り、戦いは終わった。

 そんな二人をよそに。


 「誰が誰にダイレクトアタックするのですか?」

 「し、シノ! 私たちもう死にかけ、死にかけだから! 虫の域だか、ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」

 「リーン、叫ぶ元気があるのに、死にかけなのですか? おかしいですね~」

 「や、やっぱり先輩丸くなって無いじゃないっスよ、リーンさ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」

 「アズサも酷いですね~、こんなに丸くなっているのに……。 悲しいですね~」


 口は災いの元と言う言葉を体現した二人が今、新たな黒焦げーズに生まれ変わろうとしていた。

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