丸太で作られた外見のコテージの中は、洋風の屋敷の様で実に素敵であった。

 純白のテーブルクロスが敷かれた大きな机のある3LDK、ジュースや食材がある程度準備されている業務用冷蔵庫、2人同時に寝れるキングベッドが置かれた豪華な寝室が3部屋、更にこのコテージは電話一本で食材から食事まで運んでくれるルームサービス。

 そんな素晴らしいコテージの中では今。


 「何で嫌がらせするんスか!?」

 「そうよ、アズサの言う通りよ!」


 やっとコテージ内へ入れてもらったアズサとリーンが、シノに対して声を荒らげているのであった。


 「そんなくだらない事を言ってないで、アズサ手伝って下さい。 もうすぐシチューが完成するはずですから」

 「は、はいっス!」


 のだが、あっさりその言葉は無視され、アズサも条件反射的にシノの手伝いを始める。

 しかし、怒りは収まらないリーンはそれでも怒りの声を上げ続ける。


 「くだらなくないわよ! ね、そう思うでしょアズサ!?」

 「何を言うのです、くだらないではないですか。 ね、そう思いますよねアズサ?」

 「閉じ込めておいて、くだらないっておかしいでしょ! ね、そう思うでしょ、アズサ?」

 「たかがドアを閉めただけなのに、何が問題なのですか? ね、そう思いますよねアズサ?」

 「え、えぇ!?」


 しかしそれは、アズサが二人に挟まれ追い込まれる構図を生み出すだけであった。


 「助けないの……? 助けないの……?」


 それを見ていたマナが、ソファーに座るローグのズボンをクイクイ引っ張りながらそう言う。

 すると、ローグは腕を組み。


 「いいか、あれは人類の選択の分かれ目なんだ。 アズサと言う弱者パシリがシノという強者に蹂躙さパシられるか? それとも、リーンと言うレジスタンスと共に戦い、優しくパシられる様になるのか? その様な重要な分かれ道に口を出すのは失礼に当たるんだ、だから決して口を出してはいけないぞ!」

 「分かった……分かった……」

 「そんな訳無いっスよ! だから助けてっス、ローグさん!」


 そう淡々と口にすると、マナは首をコクリと頷きながらそう口にし、アズサはローグに助けを求めるのであった。


 …………。


 そんな会話が一時間程経った結果。


 「料理……無駄になった……、食事、無駄、いけない……」

 「「「「料理を無駄にしてごめんなさい……」」」」


 鍋のシチューは黒と白が入り混じる不気味な色合いの料理へ姿を変え、空腹が限界に達したマナの、頬を膨らませてご立腹の表情を見た4人は、迷わず正座をしてマナに申し訳なさそうに謝るのであった。

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