3
「あ、アズサ! 妹! ローグさんを見て!」
「ろ、ローグさんが突然怒ってるっスよ……、珍しいっスね、一体何があったんスかね……」
「む、兄が怒っているな。 だが気にするな、日常だ」
「「え!?」」
冷静なコトネの発言に、アワアワしていたリーンとアズサは驚きを隠せない。
と言うのも、リーンとアズサはローグの怒った姿を見てきた事がないのだから、普段とのギャップに驚きを隠せない訳で……。
「な、何言ってるの妹! ローグさんが起こっているのよ! 天変地異よ!」
「そ、そうっスよコトネちゃん! 怒ってるんすよ、あのローグさんが!」
「ええ?」
だが、コトネはローグが祖父の源三の愛情と言う名の暴力に激怒する姿を何度も見てきているので、今更怒る姿を見ても何も感じない訳で……。
「何を言う? 祖父の前ではいつもあんな感じだぞ? そして、あんな顔で起こった後、祖父に本気で殴りかかるんだが?」
「「えええ!?」」
故に、この様な暖冷混じる空気が発生している訳で……。
「つ、つまり普段の人間は怒らないのか……。 くっ、私は世間知らずだったのか!」
「ろ、ローグさんって老人にまで暴力を振るうDV男だったんスね……、コトネちゃん、きっと苦労してるんスね……」
「だからローグさんって、筋肉質な体をしているのね。 今度、どうしたら鍛えられるのか、教えてもらおう!」
「「「え?」」」
そして、その暖冷混じる雰囲気は、それぞれの勘違いによって更に酷い勘違いを熟成させていく。
「おい、アズサ時期先輩! 兄はそこまでダメな男ではないぞ! あれはソフトのじゃれ合いと言うかだな」
「リーンちゃん、何を言ってるんスか! 暴力を振るう暴力男っスよ! 怖いっスよ! 第一身体を鍛えている訳じゃないっスよ!」
「ええ! 普通の人間って怒らないの!?」
「「「え?」」」
自身に向けられた発言に反応し、自身に発言した人物の方を向く3人。
そして少しの沈黙の後、その方向に向け、驚きと疑問の声を上げる。
「ええ!? どうなんだ、何が正しいんだ!?」
「ええ、そうなんスか!? と言うか殴りかかるのがじゃれ合いってどういう事っスか!?」
「ええ! ローグさんて暴力的なだけなの!?」
「「「んん!?」」」
勘違いは驚きと疑問の声を作り、困惑した表情を作り出した。
流石に3人のそれぞれの理解の許容範囲を超えたらしく、3人の動きは完全に止まった。
「あらあら、三人で何コントしてるんですか~?」
【 (; ・`д・´) 】(?)
そんな困惑して動きが止まった3人にシノとマナが近づいてくるが、3人は許容範囲を超えていた為、それを一気に開放するかのように、シノに尋ねだす!
「シノさん! 私はおかしいのか、おかしいのか!?」
「先輩! ローグさん、暴力、暴力!?」
「シノ! 状況、何、何!?」
が、許容範囲を超えた3人がまともに言葉を発する事が出来るわけがなく、リーンに至っては何を言いたいのかすら分からないあり様である。
そんな3人に対して、ため息を一つついたシノは、珍しく丁寧に回答をしだす。
「コトネ、周りを見なさい。 普通が全く無いでしょう? 非常識こそ常識ですよ。 アズサ、暴力じゃありません、暴力と書いて《じゃれ合い》と読むだけです。 そしてリーン、黙りなさい」
そして回答を聞いた3人は困惑、理解不能、「なんでよ~」の叫びを、それぞれシノへ向けて送るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます