さて、気が重くなるローグに対し、サンタモニカは全く気にせず自由に話す。


 「待て、逆に考えるんだ! 情けなくてもいいやって」

 「おっさん、男としてそれはどうなんだ?」

 「別に良いんじゃない? できない事を頑張ろうとしたって無駄じゃない?」

 「そりゃそうだが……、何か出来ることがあるだろう?」

 「ふっふっふ……」


 腕を組んでそう尋ねるローグに、サンタモニカも真剣な顔で答える。

 そう、今までにない程真剣な顔で……。


 「さて、落ち着いて分析してみようか? まず体力、女性陣はキャッキャウフフで元気いっぱいの魅惑的肉体、それに引き換え男性陣は、神経やっちゃって、手が震えてしまう破滅的肉体!」

 「いや、それはおっさん単体の話な、俺関係ないからな」

 「次に手持ちの資金、コレは我が妹のせいで圧倒的に不利だ! それもこの前、妹の会社のピザマシーンを買ったせいで更に差が開いてしまった、実に絶望的だ!」

 「だからそれ、おっさん単体の話だからな」

 「だが俺たちには熱い心がある! 壁をペタペタ張り付きながら、女湯の壁を上る力! そして裸体を優しく見守るつぶらな瞳! 俺たちにはこれがある!」

 「ヤモリかアンタは!」


 が、真剣な顔で必ずしも真剣な事を言うとは限らない。

 真剣な顔で熱く語るサンタモニカに対して、冷静に突っ込んでいたローグだったが、最後には声を大きくしてツッコミを入れてしまった。

 だが、そうツッコミを入れる力が、下がり気味だった気持ちを温め、そしてローグの気を平常値まで戻す。

 さて、平常値に戻ったはいいものの、ローグには色々思うところがあった。


 (確かに皆でコテージに行くのは良いかもしれないが、それでアズサの気晴らしになるのだろうか? だが、今のまま悩んでいてもアイディアは浮かばないだろうな。 が、それは余計な世話ではないのか、うーん……)


 ローグはうなり声を小さく漏らしながら、腕を組み、目をつぶり、真剣に考えるが結局は、良い、良くないと言う答えのラインを、人並みの速さで反復横跳びするだけだ。

 そして真剣に考えた考えた結果。


 「ダメだね~、ヤモリなんて言わないで、蜘蛛男のピーター氏って言ったほうが良かったかもね~」

 「!?」


 いつの前にかサンタモニカが消え、目の前にスーツを纏ったキョーコが座っていることにも気づかなかったりする訳で。

 

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