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分かったわ!
……えっと、どこまで話したっけ?
『戦争のせいで、ブラックスライムが生まれた点まで話しましたよ』
そうだったわね、じゃあ話を続けるわ。
結果、人間と魔族の争いの激化でスライムたちの食べ物が無くなり、飢えて泥などを取ったスライムたちはブラックスライムになったの。
でも、それでもブラックスライムにだけはなりたくないって思ったアタシ達スライムは、戦場から離れた所に住処を移した訳。
だけどさ、アイツら戦う為の資源を求めて、遠征してさ、結局新しい拠点も戦場になっちゃって台無しよ。
更にその頃になると、人間は鍛錬の為にって私たちをとらえて新米兵士達の戦闘経験の糧にしだすわ、魔族は魔力の糧として、スライムの生命エネルギーを吸い取る魔法を使いまくるわ、挙句の果てにスライムが薬草を食べる事に目を付けた人間の魔法使いが、スライムから大量の薬草を抽出する魔法を開発して、それが魔族にも漏れて、両方から更に狙われるようになったわ……。
「よく、そんな目にあっていながら私たちに協力を求めましたね……。 人間を憎んでないのですか?」
憎んでないわよ、だって悪いのはそう命令している奴らでしょ?
実際私たち、戦いたくない人間や魔族の兵士達に助けてもらったことがあったもん。
……命令に背いたって事で皆殺されちゃったけど。
でも、それにこっちに来れたのも、そんな感じの方々がいたおかげだから、今でも感謝してるわよ。
「なるほど、そういう事ですね、では続きをどうぞ」
うん、それで両陣営から狙われるようになって、人間に付くか魔族に付くか、逃げ回るか?みんな騒いでいたけど、偶然出会ったリッチーのおじいさんが、私に『この世界にはスライムを狩る文化が根付きすぎた、ここにいたところで絶滅を待つだけじゃろう。 故に、魔力を使って別の次元へと行ける転移の遺跡を使ってはどうかのう?』って助言してくれたの。
そのお陰で私たちはこっちの世界に来れた訳だし。
『こちらに来た時は貴女とマナを含めて4匹でしたが、他にスライムは来なかったのですか?』
いたけど、一度に転移出来る数も4つの生命体までって決まっていたし、所詮スライムの魔力よ? 魔族にも劣るから行きたい場所も選べないし、何処へいくのかも運次第だし。
他の子たちが生き残っているかは知らないし、もしかしたら……。
『スライムと人間が仲良く住んでいる次元がある可能性もあるのではないですか? それでしたら、わざわざ貴女が頑張らなくても……』
シノ、それは可能性に過ぎないわ。
もしそんな世界が無かったら、必死に生きた仲間たちが浮かばれないわ。
だからアタシは必死だったの、彼らの思いを無駄にしない為に……、それに命を捨ててまで私たちを助けてくれた兵士達の為に、私は止めるわけにはいけないの!
『ですが、あなたは怖くないのですか? 目的達成の為に、この平穏で楽しい生活が変わってしまう可能性が……。 今ならまだ……』
怖くないって言ったら嘘になるわね。
でも、死んでいった兵士の方たちや散り散りになった仲間たちの事を考えると止めるわけにはいけないわ!
それに、信じてるもの、ローグもシノもアズサもキョーコもモニさんもマナも世界が変わってもきっと変わらないって!
『そうですか、全く素直な目ですね……。 話を続けてください……』
あとは……。
…………。
「後は……そうね、偉大なる私について……」
「リーン、ノーサンキュー」
「良いじゃない聞いてくれたって!」
「その辺りはあなたを見ていれば分かるでしょう? 一生懸命で、変身能力があって、不思議と人を引き付ける素敵な子で……」
「そ、そうだけど……、何かシノに言われると違和感を感じるわ……」
そして紹介が終えて、微笑んだシノから誉め言葉を受けたリーンは戸惑いの表情を浮かべるのだった。
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