「何で今更スライムの紹介しなきゃいけないのよ! 始めた合った時言ったじゃない、アンタからかってるの!」


 シノの『自己紹介をしてみてください』と言う今更ながらの言葉にリーンは声を荒らげる。

 だが、シノがそう言ったのにはしっかり訳があった。


 「はぁ……あのですね、まずこっちの世界の人間が『スライムって何?』なんて言われても、RPGで始めの方に出てくるドロドロのやられ役ってイメージしかないと思いますよ。 なのでまず、その様なイメージ以外に、生態や性格、その種類なども説明する必要がありますからね。 その為の紹介です」


 ため息交じりのシノの説明、だがそれは割としっかりしていた。

 リーンは始め、不満げな顔をしていたが、それは徐々に納得したような真剣な顔へ姿を変え、そして。


 「なるほど……でもいいの? ちょっと話が長くなるかもしれないわよ?」

 「構いませんよ、それ位。 あぁ、ついでに何で虐殺されたのか、その理由もしっかり説明したほうが良いですね。 スライム移住が必要な理由が無いと説得力が無いですから」

 「分かったわ、じゃあ早速話すわね!」


 リーンはシノの案に納得し、スライムに関しての紹介を始めるのだった。


 …………。


 えーっと、まずスライムについての共通の部分ね。


 まず、スライムは小型の液体状の生物で、一部を除いて戦闘力は無いわ。

 性格は、ブラックスライム以外はおおむね優しい良い子達よ、ブラックスライムを除いてはね!

 ちなみに、マナはホワイトスライムっていう珍しいスライムで、回復魔法を使う事が出来る珍しいスライムね、まぁマナは幼いみたいだから、回復魔法が使えないみたいだけど……。

 そしてこのアタシはクラウンスライムと言って、スライム達の……。


 「そこはどうでもいいので、次の話に移ってください」


 な、何よ、良いじゃない、スライムの説明なんだから!


 「そんな種類ごとに、特徴を話していたらキリがないでしょ? だから次の話に移ってください」


 む~仕方ないわね……。

 じゃあ、次の話、スライムの生活。

 基本的にブラックスライムを除き、スライムたちは綺麗な水と薬草などの草が主な食事ね、それで森や草原、綺麗な川辺や湖の近くに住んでいたわ。


 『過去形って事は何かあったのですね』


 その通り、これはスライムが絶滅に追い込まれた話にもつながるけど、人間と魔族の戦争の激化で、スライムの住処がどんどんなくなっていったの。

 森の木々は陣営等の設営の為にどんどん伐採され、草原の草花は炎の魔法で燃え尽き、川や湖は血や鉄の錆で汚れていったわ、お陰でブラックスライムが増えてしまって……。


 『そう言えば、ブラックスライムって何なのです?』


 えっと、つまり汚れた水や泥を食べるようになって、徐々に変異したスライムっていうのかしら?

 あれはスライムの様だけど、全く別の生き物と言うか……。

 私たちの言葉すら通じないし、人間や魔族の死体を食べるし、身体は毒で出来てるし、生物の傷口から侵入して、毒の体で生物の体を破壊するし、もうアレは獣よ!


 『ん? なら一つ尋ねたいのですが、マナにこっちの世界の食べ物を食べさせるのは問題なのですか?』


 そこは大丈夫!

 あくまで水と草は基本的だから、別にこっちの食べ物を食べても問題はないわ。

 ただ、問題になるのは明らかに汚れた水や泥を摂取する事がいけないと言う訳で、それ以外は何の問題も無いわ。


 『なるほど、分かりました。 では話に戻ってください』

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