「……という事で、今まで追いかけまわされていたんスよ……」

 「まぁアズサ、ドンマイ……」


 全てを話し終えたアズサの肩に、リーンはポンと手を置いた。

 それは、同じく追い回された経験があるリーンだからこそ分かる事なのだろう。

 その為。


 「良いわ、分かるものアズサ。 スタンガン片手にシノに追い回される恐怖は、やられなきゃわからないものね……」


 そう言いながらウンウンとうなづいてアズサに同情するリーン。

 それがとっても嬉しかったアズサは。


 「そうっスよね、あれは追われなきゃ分からない恐怖っスよね! リーンさんじゃなきゃ分からないっス!」


 そう理解できる相手の言葉にありがたさを感じるのであった。


 「うん、なら今日の歓迎会は、ようこそアズサ! そして不幸な一日終わりの会って事にしましょう!」

 「そ、そうっスね! ありがとうっス、リーンさん!」


 そして満面の笑みのアズサは、リーンが歓迎の為に用意したお手製料理デスグルメが机の上に並ぶリビングへと案内される。

 これから、一日で最も不幸なイベントが起きようとしていることも知らずに……。

 

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