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「いや、タバスコっスよね。 どう考えても薬じゃ無いっスよね?」
「薬です、タバスコと言う薬です」
「タバスコはタバスコっス、絶対薬では無いっス」
「タバスコは薬です、身体の発汗作用を促す魔法の薬です」
「いや、発汗作用を促すかは知りませんが、タバスコは薬ではないっス」
真剣な顔で互いに主張し合う二人。
だがこの主張のし合い、2時間続いている訳で……、当然二人は。
ぐうぅぅぅぅぅ……。
時間的には昼の12時なので、二人腹の虫が同時になってしまうのも仕方のない事だろう。
そして、不意に響いた音に、二人は顔を赤く染める。
「「ふふふ……、あはははは!」」
だが、そんな偶然は不思議と笑いを生み。
「……一緒にファミレス行くっスか?」
「……はい、ご一緒させてください!」
二人の仲を一歩近づける結果になった。
…………。
「すみませ~ん、注文をお願いしますっス~」
「この激辛担々麺の10倍にハバネロをたんまり入れてくださーい」
「すみませ~ん、お会計お願いしますっス~」
「そのお会計はキャンセルでお願いします~」
「…………」
「…………」
そして表情だけにこやかな二人は、ピリピリした会話を無理やりにこやかにした様な声で始める。
「何言ってるんスか、普通ハバネロなんて、ある訳ないじゃないっスか……」
「ですから、少し遠慮してハバネロっていっているのですよ。 ホントだったらトリニダードスコーピオンを入れてくださいって言うのにですよ?」
「いや、聞いたこと無いっスよ、そんな物!?」
「約145万スコビルですよ、トリニダートスコーピオンは。 ハバネロなんて、良くて35万スコビルですよ。 僕、十分気を使っているじゃないですか!」
だがここから二人はヒートアップする。
にこやかな表情だけは変わらないが、机を互いにバンバン叩いて会話のドッチボールが激しくなる。
「気を遣うなら、一味唐辛子で十分じゃ無いっスか! わざわざそんなモノ頼まなくていいじゃないっスか!」
「一味なんて味も無いと一緒ですよ、あんなもん食感があるだけのオマケですよ!」
「絶対味覚おかしいっスよ、君!」
「君って失礼じゃないですかお姉さん! 僕には桜井キョウスケと言う名前があるんですよ!」
「でも、キョウスケ君だってお姉さんは無いっスよね!? オイラにも笹井アズサって名前があるんスよ!」
「なら言いますけどね、アズサさん! 食なんて本人の自由じゃないですか、別に良いでしょ、食べたいものを食べたって!」
「限度ってモノがあるっスよ、頼むにしても! そんなハバネロ常備している店なんてあると思うんスか!? 一緒にいるオイラも恥ずかしくなるっスよ!」
激しくなる二人の口論。
流石にそれは店中が注目する事態になり。
「お、お客様!? 店内で喧嘩はお止めください!」
店員が止めに入る事態になるのであった。
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