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「んん~! さてと、アンタ達の誤解を解くためにも、ワタシとこの子の話を始めるかしらね」
社長室に女子6人で戻り、5人は来客用のソファーに、キョーコは社長イスに座る。
そしてキョーコは、一度背伸びをして、にこやかな表情を顔に浮かべ、話を始めた。
…………。
この子が高校1年生の時かしら、初めて出会ったのは。
私も色々あってお金が欲しくてさ、家庭教師のバイト始めたのよ。
その第一号として出会ったのがこの子なの。
いや~この子、真面目だったのよ~私が教えた事、直ぐに覚えてさ~。
それで、テスト明けにはちょっとした食事に連れて行ったっけ?
まぁ、色々あったわね。
始めて会ってから、一年位経った頃だったかしら?好きな人が出来たって、初めてアタシに相談してきたのは。
いやー始めて相談された、嬉しかったわ~!
『あ、あの先生、名前を伏せてください……』
うんうんシノ、そこは言わないわ、安心しなさい。
『えぇ! 名前ぐらいいいじゃない、ねぇアズサ!?』
『リーンさん、気持ちは分かるっスけど……。 先輩、スタンガンを取り出さないでほしいっス』
はいはーい、そこの二人、お口を閉ざしなさい、
さて、話を戻してシノに相談されたのよ、アタシ。
そしてさ、その話は良くしたわね~。
「彼は不良って言われるけど、ホントはとってもいい人で、話が苦手だった私と友達になってくれまして~」とか「勉強が苦手みたいで、どう教えればいいのでしょう?」とか「もし、その好きな人を落とすとして、下着は何がいいのですか?」とかね。
勿論アタシは教えたわよ、勉強の教え方だったり、黒のTバックで悩殺する事を提案したり、いや~色々話したわ~。
『いや~Tバックなんて紐みたいなもの、よく履けるわよね~』
『リーンさん、シー! シーっスよ!』
はいはい、そこの二人~、とりあえずイエローカード出すわよ~。
もう一枚手に入れたら、レットカードと同じ色に染まるかもしれないわね~、そこでスタンガンをバチバチいわせてるシノによって。
『『ごめんなさい……』』
よしよ~し、良い子よ二人とも~。
話を戻して、アタシは相談とか乗っているうちにこの子の事が分かったのよ、この子は親に認めてもらう為に頑張っていたんだってね。
確かにこの子、両親から誉められている様子もなかったし、学力で1位を取るのは当然って感じの親だったわ。
だから、アタシに褒められるのがとても嬉しかったんだって。
アタシしか、本音を言えないから、恋の相談とかしたんだって。
そう、この子の気持ちが嬉しく感じ始めた頃ね、あの事件があったの。
それで病院まで行って、「シノ、大丈夫?」って言ったわ。
そしたらこの子、何て言ったと思う?
『私を強くして下さい、身体も、心も……。 彼の足手まといにならない様に……。 彼を守れるように……』
って頭に包帯を巻いた状態でよ!
だから、アタシは教えたわ、とっておきの我流の護身術を、私の思想を、この子の為に……。
…………。
「それとついでに、スタンガンも買ってあげてね、その子が持ってるスタンガンはその時の物よ」
素晴らしい笑顔で楽しげに言うキョーコ、そしてそれに続くように嬉しそうなシノが口を動かす。
「先生からもらった私の宝物ですよ~」
「でも、最終的に勉強をあまりしないで、格闘技とか、男はとにかく股間を蹴ろ!とかばかりを教えすぎてさ、アタシはクビになっちゃったのよ、あははははは。 あぁそれだけじゃなくて、欲望に忠実になりなさいとか、私に忠実になりなさいとか教えたりさ~、その点も文句言われたなぁ~。 まぁ、実にいい子に育ったから良しとしましょう!」
「先生のお陰で、ストレスも溜まらない良い生活が出来てますし、先生には感謝していますよ。 ただ、まだ完全に欲望に忠実になれてはいないのが申し訳ないなと思っているのですが……」
「アンタは根がとっても真面目だからなぁ……。 まぁ一歩ずつ成長しなさいな」
(((え、これってどんな反応をすべきなの!?)))
だが、それを聞いていた3人は、本気で話しているのか?冗談めいた話なのか?どちらに捉えるべきか困った顔で二人を見ていた。
そしてマナは。
【 (-_-)zzz 】(zzz……)
話が退屈だったのか、ソファーで瞳を閉じていた。
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