「あの……あの……大丈夫ですか? キョーコさん? 先輩?」

 「…………」


 白目を向いて倒れている二人の首元を、人差し指でツンツンつつくが反応は無い。

 そして。


 「アズサ、アンタ遂に殺人事件を……」

 「大丈夫だ、アズサ次期先輩。 あなたには黙秘権、そして弁護士を雇う権利がある」

 「二人とも、オイラ殺して無いっスからね! と言うかコトネちゃんは海外ドラマの影響でも受けたっスか!?」

 「冗談よ冗談! 本気でいう訳ないじゃない~」

 「そうだぞ、アズサ次期先輩。 こんな海外の刑事ドラマの様な事を本気で口にするものか!」

 「全く二人とも……」


 アズサは頬を膨らませて、いじけたような印象を二人に送る。

 ただ、ややニッコリしている目元を見れば、冗談半分と言うのは感じとれる程度のイジけ具合だが。

 さてそんな3人は、この後どうするか話を始めるのだが。


 「とりあえず、二人をどこかで寝かせる事にするっスね?」

 「ダメよ、それは! だって、このキョーコって人は魔女よ!」

 「うむ、それでシノさんは操られているのでは?と言うのが我々の意見なんだ! まず魔女をどうにかすべきだろう?」


 二人と一人の意見は分かれる。

 さて、そんな二人の意見を聞いたアズサは呆れた顔をしていた。


 「……なーに言ってるんスか? 魔女だったら魔法でオイラを捕まえようとするっスよ、きっと」


 この様に、アズサは現状の行動からそんな訳がないと判断するのだが。


 「何言ってんの! それならシノがおとなしく従う訳がないじゃない! 魔女よ、魔女に決まってるわ!」

 「うむ、私も魔女の可能性を捨てれない以上、警戒の意味でその可能性を捨てる訳にはいかないからな」


 真剣な顔をアズサに近づけるリーンと腕を組むコトネはその意見を否定する。

 リーンの場合は、自分の世界の常識を元に、この様に結論付けて言っているのだが、コトネは単純に警戒心からそう言っている。

 だが、それは受け入れられる訳もなく、沈黙が続く。

 そして。


 「……なら、魔女の手で二人もワタシの支配下に……」

 「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」」


 不気味な声を出しながら、いつの間にか二人の背後から蘇ったキョーコに驚くリーンとコトネ、そして。


 「全く……。 先生が魔女な訳がないでしょ?」


 頭をかきながら、シノはアズサの背後から蘇るのであった。


 …………。


 その頃、男性陣は……。


 「よーし、あずま君リーチを掛けちゃうぞ~」

 「宮城様、ロンでございます」

 「おいおい、5巡目で四暗刻単騎か!? おっさん、ツイてなかったな……」

 「と言うか、また飛んだんだけどさ……。 と言うか後藤ちゃん、役満ばっかり勘弁してよ……」


 社内の遊技場にて、3人で麻雀をしているのであった。

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