「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 「がお~、いう事聞かない悪い子は食べちゃうぞ~、ほらシノも叫ぶ!」

 「がお~アズサ~先輩の言う事は聞きなさ~い!」


 シノとキョーコ危ない二人に追われるアズサは、叫び声をあげながら広いレストランの中を全速力で走っている。

 なにせ捕まったら何をされるか分かったもんじゃない!

 そんな未知の恐怖があるのだから、アズサも必死になっているのである。


 さて、そんな追いかけっこをしている3人を見ていた、コトネ、リーンの2人は。


 「うーん……」

 「む、どうした?」

 「いや、一つ疑問があるのよね~」

 「何がなのだ?」


 リーンの脳裏に浮かんだ一つの疑問、それが真剣な顔をして腕を組む、二人の話題になっていた。


 「前にさ、モニさんが言ってたんだけど、シノってローグさんをかばってバットで殴られた後から、あんな性格らしいんだけどさ。 あの様子を見てたら、ホントにそうなのかな?って思っちゃってさ~」

 「……そう言えば、以前のシノさんは、あんなでは無かったな。 少なくとも事件前は、大変真面目だった。 それで事件後しばらくしてあんな性格になった所を見れば、やはり頭を殴られた影響じゃないのか? 私はあのキョーコさんとやらは関係ないと思うぞ」

 「でも見てよ、シノのあの顔……。 天変地異が起きると思われても仕方がない素直さに笑顔よ? きっとあのキョーコって人は魔女で、シノは魔法で洗脳させられているのよ……!」

 「流石にそれは……。 いやリーン自体がスライムだから、こちらが非現実的と言う否定がしづらいのだよなぁ……。 ちなみに魔女の力は、スライムと比べてどの程度なんだ?」

 「ん~魔力に長けたスライムと比べたらの話だけど、魔力に長けたスライムは儀式なんかの下準備をしてやっとこっちの世界に来れるけど、魔女は簡単に別世界にやって来るわね。 速さで例えるなら、歩く人と自動車位の差はあるかもしれないわね」

 「うーん、魔女説が浮上してしまったな……。 リーン、キョーコが魔女だったらどうするんだ?」

 「それは、何とかして助けてあげたいけど、作戦を立てない事には……」

 「作戦か……」


 そして、いつの間にか魔女認定されたキョーコをどうやって倒すのか?

 二人が見合って、そんな作戦会議が開始され始めた頃。


 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ! 捕まるっス、捕まるっス、捕まるっス!」

 「さぁ行け~シノ~、もうちょっとで捕まえられるわよ~」


 アズサとキョーコの距離はだいぶ近づいていて、もう少しで捕まりそうになっていた。

 そして。


 「ぎゃはははは、悪い子は……ぎゃ!」

 「う、後ろに倒れま……ぎゃ!」


 レストランの入り口のドアを通って外へ逃げたアズサを追った、シノとキョーコだったが、二人の高さが入口のドアの高さより高く、キョーコはドア上にある壁に頭をゴンとぶつけて地面に落下し気絶する。

 そして、シノもその反動をもろに受け、バタンと頭から倒れるとキョーコよ同じく気絶した。


 結局、コトネとリーンが作戦を練らずして、魔女は倒されたのであった。


 …………。


 その頃、男性陣は……。


 「こちらがお手軽せんべい製造機となっております。 こちらは炊いた米と醤油や味噌などのタレを入れるだけで、自動でせんべいのベースが出来上がるのですね。 後は、出てきたせんべいを油を敷いたフライパンで炒めるだけでオリジナルのせんべいが完成します」

 「「お~~」」

 「こちらは縦70センチ、横40センチ、高さ50センチ、お値段もやや控えめで2万1千円でございます」

 「ん~、これはどうなのか? ちょっと微妙な値段だが、うちのゴリラじじいが喜びそうではあるがな……」

 「おっさんはいらないかな~」


 まだ、工場見学を楽しんでいるのであった。

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