9.奇人社長キョーコ
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【 (*´ω`*) 】(美味しい美味しい!)
「おや、美味しいですか~」
ここは社内の敷地にある食堂の名を借りた2階建てのレストラン。
両開きのガラスのドアを開くと、左半分は解放感を感じるガラス張り、おかげで外に広がる駐車場、そして工場の外の風景を眺めながら食事を行える。
料理は右端に置かれた様々な国の料理を皿に取って、好きに食べるバイキング方式で、社員は当然タダ。
それが、このATIN自慢のレストラン『デリツィオーゾ』である。
そんなレストラン『デリツィオーゾ』を社長命令で貸し切り状態にし、マナがそんなレストラン内で机いっぱいに乗った様々な国の料理の数々を、皿まで食べんばかりの勢いでどんどん平らげていく。
そしてそれは、大変おいしいのだろう、マナは普段以上に幸せそうな顔を浮かべている、そしてそれを眺めるシノも同じである。
「へぇ、スライムっているのね……。 むむ、スライムだけあって柔らかいわ……」
「な、何なのだ、一体……?」
そんなマナの様子を見ながら、キョーコは真剣な顔を浮かべて、左手でコトネの胸を揉み、コトネは小さな戸惑いの声を上げる、そして。
「むむ、このスライムは小さいわね……」
「な、何で胸を揉むんスか! と言うか、私の胸はスライムじゃないっスよ!」
キョーコは真剣な顔を浮かべ、右手でアズサの胸を揉む。
しかし、言葉と全く関係ない行動にアズサは顔を赤くしながら、抗議する。
だが、そんな行動をした理由がキョーコにはあった。
「何言ってんのよ! そこに可愛い女の子がいる、胸がある、そしたら揉みたくなるのが普通でしょ!? 登山家だって山があるから上るんでしょ!? つまり、私は
「な、何言ってるんスか、キョーコさんは!?」
キョーコの裏表の無い熱い主張、だがそれが受け入れられるとは限らない。
戸惑うアズサに自分の主張を理解させるため、キョーコは一度熱さを抑え、
冷静に分かりやすい説明を始める。
「いいかしら。 例えばの話、好きな人に好かれ、そして将来結婚するために一生懸命になるとするわよね?」
「は、はぁ……」
「そして好きな彼と付き合い、そして結婚する訳。 でも彼が好きになったのは偽りの自分な訳よ、それは自分無い訳」
「え、えぇ……」
「演じ続ければ、それはきっと平穏よ、彼が浮気をしない限りね。 でもその分自分に負担がかかるじゃない。 愛の為なんて出来る!なんて言う人もいるでしょうけど、それって精神力が必要な訳よ」
「ま、まぁそうかもしれないっスね……」
「つまりね……」
「つまり?」
そして近づいてきた
「つまり、欲望を貯めてはいけないのよ! 乙女達はストレスで死んじゃうのよ! 欲望の為なら何をやっても許されるの! もし理解できない相手がいるなら、身体に教えたほうが面白くていいじゃない? つまり今のあなたに教育を……」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ! ち、痴女っス! 襲われるっス!」
説得は残念ながら失敗に終わり、アズサはキョーコの言葉に恐れを感じ、キョーコの両手を払いのけると、全力で逃げだした。
「あぁ、待て、新しいおもちゃ! シノ、合体よ!」
「分かりました、先生!」
「オイラ、おもちゃじゃないっス! こっち来るなっス!」
だが、そこで諦めるキョーコではなかった。
そんなアズサを、シノに肩車された状態で、そして両手の指を怪しく動かしながら追い回すのであった。
…………。
その頃、男性陣は……。
「こちらは、家庭用餃子製造機です。 ひき肉と餃子の皮をセットするだけで、後は自動で餃子を作り、餃子を焼いて、こちらの排出口から美味しい餃子が出てきます。 餃子は後ほど、試食コーナーで出来立てを……」
「「お~~~」」
「縦3メートル、横幅80センチ、高さ60センチとなっていまして、お値段は割高ですが19万9千円でございます。 ちなみに姉妹品として開発中の物には、餃子の皮、チーズ、ウィンナー、ケチャップ、玉ねぎをセットするだけで、ミニピザが焼けるミニピザ製造機も開発中でございして、こちらは値段は未定でございまして……」
「ちょっと餃子製造機は欲しいな……。 パーティとかすると楽しいかもしれないからな……」
「あ~ローグ君はそっちか……、おっさんはやっぱりピザかな~。 値段によってはカミさんに土下座してでも買っちゃうなぁ……」
白い工場見学服を来て、後藤さんの案内で、普通に工場見学を楽しんでいたりしているのであった。
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