「先生~」

 「あら、どうしたの、シノ?」

 「先生はどうしてここの社長に~?」

 「ん~、適当にさやってたらさ、なんやかんやで社長になったのよ~、いや~アタシもびっくりよ、ホント」

 「…………」(なんかこの人怖いっス……)


 歩きながら行われるキョーコとシノの会話は、アズサを怯えさせる。

 それはシノが甘い声を出してキョーコに甘えているのが恐怖の原因……。

 その為、アズサはキョーコに対する警戒心を、人1人分のスペースという形で表現する。

 そんな様子を知ってか知らずか。


 「お、胸も大きくなって~、先生は嬉しいわよ~」

 「や、止めてくださいよ~、先生~」

 「む、先生に逆らう悪い子は、先生のテクで……」

 「ギャハハハ! せ、先生止めて! も、もう意地悪なんですから~」

 「でも笑顔って事は満更でもないでしょ?」

 「えへへ~」


 そんな二人のイチャイチャはより酷くなる、そして並んで歩くスペースが人二人分に変わる。

 だが、流石にそれは目に付いた。


 「アズサ、どうして離れるのですか?」

 「おやおやアズサちゃん、そっけないとお姉さんのハンドパワーが炸裂するわよ?」


 まさに蛇に睨まれたカエルと言う状態である。

 アズサは両手の指を不規則に動かすキョーコと、それをおぶるシノの光る目に睨まれ、身の危険を感じたアズサはとっさに口を動かす。


 「あ、いや、その、二人の邪魔をしちゃいけないと思ってっスね……」


 だが目が右上にそれている。

 当然それを見逃す二人ではなく。


 「シノ、アンタはアズサちゃんを捕まえなさい。 今から尋問の時間よ……」

 「分かりました、抵抗するなら……」

 「ええ、正義の前にはスタンガンも止む無しよ!」


 そう不気味な声でそう口にし、二人はアズサに襲い掛かろうとする、だが。


 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ! 痛い痛い痛い痛い!」

 「待て、マナ! リーンは食べ物ではないぞ!」

 【 (; ・`д・´) 】(ごはん! ごはん!)


 そんな2人と1人の間を遮るように走り去ったリーン、マナ、コトネの3人のお陰で。


 「先に食事をする方が良いみたいね、シノ」

 「私も同感です、至急食事をいっぱいお願いします」

 「任せなさい。 食堂に着いたら食べれる様、手配するわ」


 アズサは、真剣な表情に変わった二人に襲われずに済んだのである。

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