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「ここは……おい……」
「な、な、な……」
「これはこれは……」
「ふむ、大きいな」
「うわ、大きな鉄の塊!」
【 (*´Д`) 】(お腹すいた……)
ローグ、アズサ、シノ、コトネ、リーンの順に、巨大な建物に対する驚きの感想を口にする。
そう驚くのも無理はない、ここは食品機械の製造、販売の最王手の会社と言われる、有馬テクノロジーインターナショナル(通称ATIN、エイチン)の本社兼工場なのだから。
社員約37万人、『作れるものは何でも作る』をモットーのこの会社は、日本国内に8つの工場を持ち、その工場一つ一つが空港に匹敵する広さを持つ。
だが、製造しているのは食品機械だけでなく、電子機械の部品、ガラス、果ては全く本業とは関係ない家具や衣類まで作っている始末で、巷では「一体何を目指しているのか分からない」と言われる始末である。
そんなATINの入口の門で受付をサンタモニカが済ませて助手席に戻ってくると、サンタモニカとATINの関係が気になったローグが、真っすぐ前を見ながら質問する。
「おっさん、こんな大企業と一体どんな繋がりがあるんだよ?」
「ん~それは妹がここの社長だから~……ってその『嘘つき』って言いたげな目で人を見るのは止めなよ、君たち~」
だがその答えは実に嘘くさかった為、後ろの4人も胡散臭い表情でサンタモニカを見る。
と言うのも、サンタモニカの本名は宮城ケン。
だがATINの社長の名前は|坂崎未来(さかざきみらい)、まったく違う苗字であるからだ。
だから皆は胡散臭い目で、サンタモニカを見た訳だが。
「……会社での名前よ坂崎未来って。 本名は宮城キョーコって言うの。 あぁ、ちなみに養子だよキョーコは。 俺が13才位の時にうちに来て……」
「「「へぇ~~~……」」」
「み、みんな嘘じゃないからね、おっさん刑事だから嘘つかないからね!」
(((嘘くさい……)))
【 (*´Д`) 】(お腹すいた……)
サンタモニカがしっかり理由を話すが、日ごろの態度が悪いのだろう、サンタモニカは皆の納得の声を上げる事は出来なかった。
だが一人、シノだけは。
(宮城キョーコ? どこかで聞いた名前だけど……)
そう静かに考えた。
…………。
サンタモニカから言われるがまま、門から車を5分ほど走らせた所にあった駐車場で降りた目の前には、白を基調とした大きなビル。
そして、そのビルの前に一人の老紳士が立っており、出迎えの言葉を口にする。
「本日はよくお越しくださいました、皆さま。 わたくし、本日皆様のご案内をさせて頂きます、後藤と申します。 どうぞお見知りおきを……」
「ヤッホ~、後藤ちゃん! 元気してた?」
「はい、宮城様。 私はこの通り、元気でございます」
「あ、こっちが今日、工場見学したいって知り合いなのよ~。 あ、とりあえずキョーコの所に案内してよ」
「はいはい、こちらでございます」
サンタモニカが軽口で後藤さんに口を開き、そして後藤さんの案内で社内へ。
そしてエレベーターに乗り、10階へ着くと、エレベーターを降りた目の前に社長室と書かれた扉が目の前に現れ。
「では皆さま、わたくしは外で待っておりますので、どうぞごゆっくり」
そう言って後藤さんは社長室の扉を開け、7人は中へ入っていった。
そして。
「ぐ~~~が~~~」
白いTシャツにジーパンという格好で、来客用のソファーでよだれを垂らし、更に鼻提灯を作り、トドメに酒の瓶を右手に握りしめた長髪の美女がお腹をかきながら爆睡していた。
そして、そんな美女にシノが驚いた表情を浮かべ。
「先生? 先生よね? 先生だよね!?」
普段からは信じられないほど、純粋そうな声を出して、寝ている美女をユサユサと揺らしたのであった。
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