8.楽しい工場見学?
1
「最近、マナが退屈そうにしているんですよ」
【 (*´Д`) 】(暇……)
料理テロから2週間が経った頃。
そんなシノの言葉で始まった、早朝の店の会話。
その言葉にローグは「うーむ……」と考え込み、そして一つの答えを出す。
「おもちゃでも買うか?」
【 (T_T)/~~~ 】(いらな~い……)
「…………」
だが、あまりに安易すぎる答えに、マナから不満げな顔という盛大な不評を受け、ローグはショックのあまり、頭を押さえて落ち込んでしまう。
そんなローグを見てシノは。
(全く、その手の事はホントダメなんですから……)
とニコニコした顔には出さずにそう思いながら、彼女らしい言葉遣いで助け船を出す。
「おやおや、子供の気持ちが分からないとは、ダメダメですね~。 全くここで食べて寝てだけの生活なんですよ~、この子は」
「……つまり、どこかに連れて行くべきだと言っているのか?」
「……それ以外に聞こえます?」
「だが、どこに連れて行く?」
「まぁ、それはこの子の反応を見ながら考えればいいのでは?」
「それしかないか……」
そして二人はどこへ連れていくか、じっくり考え始めるのであった。
…………。
「子供の使命は勉強のはずだ、しっかりした子になるためにも私立図書館に行って読書に励むべきだ。 それに最近、哲学や文学のコーナーを大幅にリニューアルしたと聞く、これは知識の為にも行かねば損だと思うが?」
「ダメよ妹、行くなら遊園地よ遊園地! 私、ジェットコースターという乗り物が楽しいって聞いたしマナも喜ぶハズよ! 他にもメリーゴーラウンドとか観覧車とか……」
「リーンさん達、それは自分達が行きたいだけじゃないっスか!? 女の子はショッピングが良いはずっスよ! かわいい服を買って、美味しいスイーツを食べながら女子会して、そしてコイバナとかして……」
「アズサ次期先輩よ。 それこそ、自分が行いたいことじゃないのか? 第一、幼い子供がコイバナを好むとは思えないしな。 そんな話をするより、将来の為に哲学や文学の本を読んでだな……」
「それはダメよ妹! 子供は風の子元気な子って言うらしいじゃない、こっちでは。 なら外で遊ばせるのが一番よ! つまり遊園地が……」
「だからそれはリーンさんが行きたいだけですよね! 女の子は可愛い恰好をして、そしてそれを好きな人に見せて、愛してもらうのが女の子の幸せなんです! だから、ショッピングして服や香水を買って……」
考える時間を1時間、じっくり持った結果。
・料理テロ以降、コトネとアズサと会う機会が増えた結果、楽しげに話すほど仲良くなったリーン。
・最近、リーンがスライムと知っても「生きていれば未知の生物にも合う」と特に驚かなかったコトネ。
・やっと対等に話が出来る仲間が出来て嬉しいアズサ。
の三人組もいつの間にか店内のテーブルに座り、考える事に参加していた。
そんな様子をカウンターから見る、年上の二人組とちびっ子スライムは。
「アズサの奴、可愛さを気にするなら、
「リーンも頭が悪いですね。 小さい子は身長制限からジェットコースター等、乗れないものが多いでしょうに……」
「コトネの奴も何を考えているんだ、子供に哲学や文学の本を読ませても面白くないだろうが……」
【 (*´Д`) 】(ダメダメ~……)
そんな三人の案に対し、ローグとシノは否定的意見を口にし、頷く様子からそれはマナも同じ意見らしい。
だが、そんなダメダメの案が飛び交う中、ここで一つの意見が上げられる。
「行先が決まらない? 何か刺激が欲しい? そんな時はココ、わくわく食品機械工場見学ツアー! 食卓に並ぶあんなものが出来る過程が全てわかる素晴らしさ! 費用はなんと、シノちゃんのエロスが満載の黒いTバック3枚で、ビババババババババ!」
いつの間にか、腕を組んでシノの隣に立っていたサンタモニカは、そんな余計な一言を含んだ提案をテレビショッピング風に言い、右脇腹にシノのスタンガン攻撃を受けるのであった。
だが、意外な事にその提案は。
「工場見学か……。 食品機械関係だと、製造を体験できたり、出来立ての物をもらえたりするらしいが……。 どうだ、マナ?」
【 (*´ω`*) 】(出来立て、食べたい!)
意外とマナには好評だったりする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます