さて、ここに出来上がった(命を奪われそうな)素敵な料理が木の器に乗せられて二人が寝ている机に向けて運ばれる。

 その料理は。


 ・真っ赤なスープ

 ・目がショボショボするスープ

 ・ニンニク臭がきついスープ


 以上である。

 結局、肉は黒焦げになり、フライパンと共に台無しになった。

 なので、二人の料理は例のスープのみになったのだが、そこは親切心の余計な事をする匠である二人の力が発揮され、同じ物を3皿に分けるというウルトラCを行う。

 おかげで、刺激と匂いを発する場所が増え。


 「「うーん、うーん……」」


 寝ている二人の苦悩の表情がより深刻になってしまった。

 だが、そんな事など気にしない二人は。


 「はい、どうぞ!」

 「兄よ、これを飲んでしっかりするのだぞ!」


 と言って、それぞれスプーンを使ってそれぞれの口に運ぶ。

 そして……。


 「…………」

 「…………」

 「ぎゃあぁぁぁぁぁ! ニンニク! 臭い! 臭いのですが!」

 「ぐお! 辛い! 辛い!」


 スープを口にした二人は、徐々に顔色を悪くし、それぞれそう叫ぶ。

 そして、二人は床をゴロゴロとのたうち回り、遂には。


 「「あ……」」


 二人ともそんな声を出して気を失った。

 そして、その一部始終を見ていた犯人の片割れは。


 「気絶するほど美味しかったって事ね!」


 と喜びの声をあげたが、もう一人の犯人の妹の手によって、その場から強制的に立ち去る事になった。


 その数時間後、昼過ぎから店の手伝いをするよう呼ばれていたアズサによって発見された二人は、しばらくアズサによって看病される事になった。

 当然店は数日の間休みになり、ローグは店でしばらく病療することになった。


 その後、二人の犯人の悪運が良かったのか、それとも料理の破壊力があったのか謎であるが、ローグとシノのその日の記憶が飛んでいた。

 おかげで二人の犯人の犯罪は、なかった事になったのだが……。


 「お二人とも! 何か、何か恐ろしい物でも見たんじゃないですか!?」


 アズサはしばらく、この謎のミステリーに悩まされる事になった。


 そして、その一部始終を見ていたサンタモニカは。


 「これはMシュランガイドのドキドキどMチャレンジに投稿されるほどの料理だな……」


 と興味深そうに見ていたのであった。

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