3
さてカウンター越しのキッチンの上には冷蔵庫から取り出された食材、調味料、そして調理器具等がズラッと並んでいる。
その一覧がご覧の通りである。
・玉ねぎ
・にんじん
・にんにく
・じゃがいも
・ひき肉
・牛のヒレ肉(ステーキ用)
・白米
・チーズ
・ヨーグルト
・バナナ
・牛乳
・練乳
・カレー粉
・ソース
・コーヒー
・砂糖
・
・オリーブオイル
・業務用ミキサー
・鍋
・フライパン
・炊飯器
・胃薬(粉)
・リーンの持ってきた袋の中身
これを見て、多くの人は何を作るか?と問われれば、十中八九カレーかクリームしシチューではないだろうか?
もちろん、胃の痛い人物にカレーやクリームシチューはどうなの?と言う疑問や、そもそも二人には胃薬を飲ませれば良い、お粥を作るべき等、色々な意見があるだろう。
だが今回は、それらの意見を一度忘れ、一生懸命な二人の料理を優しい目でご覧頂きたい。
…………。
「えーっと、これだけ食材を準備したんだけど、何を作ろう?」
「ふむ、難問だな……」
「健康も考えなきゃいけないわよね、妹さん!」
「ふむ、それだけでなく味も良くなければならない、リーンとやら」
「「うーん……」」
並べられた食材を見て、リーンはそう口にし、コトネもそれを深刻そうに見つめる。
二人を元気づけ、そして美味しい料理。
これが二人を悩ませているのであった。
…………。
さて早速ここで二人について、追加の報告がある。
既に感づいた方が多数を占めるかもしれないが、二人は
……以上の事を頭に入れて、改めて一生懸命な二人の料理をご覧ください。
…………。
どうするか、深く考え込む二人。
だが、ここでコトネがとある考えを口にし、それが二人の料理開始の合図になった。
「リーン、私に考えがある。 以前テレビで、生のまま野菜等を取れば酵素が取れると言っていた。 つまり、体調を崩した二人の健康の為、生野菜を使った一品が必要だと思うのだが?」
「なるほど! ならミキサーを使ってジュースを作るのはどうかな?」
「良いセンスだ、リーン。 私もそれに賛成だ!」
「では早速ジュースを作ろう!」
そして二人は健康によさそうな物、そして味付けによさそうな物を互いに上げながら、二人はそれをミキサーに投入する。
「まずは《バナナ》ね、体に良いっておばちゃんが言ってたし!」
「腸内環境を考えて《ヨーグルト》も忘れてはいけないぞ」
「カフェインも体に良いらしいわね、なら《コーヒー》も入れなきゃ!」
「味を調える為に《砂糖》も忘れてはいけないだろう?」
ここまでなら美味しいもので終わっただろう。
ここで終わっていれば……。
「そういえば発汗作用が弱いわね。 ここは《唐辛子》をいっぱい入れましょ! な、何かショボショボするけど、効果絶大って事よね!」
「辛さにはスパイシーさが必要だ! 味を調える意味で《カレー粉》は忘れてはいけないだろう?」
「健康の為に《にんにく》をいれなきゃ! 匂いがあるけど、それだけ健康って事よね」
「なら、にんにくによって胃が痛まないように《胃薬》を投入しよう!」
「あ、そうだ、
「ほう、そうなのか? ん、こっちの世界にも?」
『こっちの世界』と言う言葉に、疑問を浮かべるコトネを置いての余談だが、一般的に生のニンニクの殺菌作用は強力で、良くて一日一個が良いところだろう。
それを3ふさ入れたとなると、どうなるか?
・それは『人間、生にんにくを3個口にするだけで、相当な痛みが数日続く』
そう言えば、答えはおのずと見えてくるだろう。
つまり『良い子のみんなは決してマネをしてはいけないよ!』という事だ。
そしてキャロライナ・リーパーという唐辛子、公式の辛さは約155万スコビルあると言われる。
さて、この辛さを表現するなら。
・味覚でなら鷹の爪は4万~5万スコビル、身体的になら一般的な催涙スプレーが1万5千~9万スコビル、最も強力なもので18万スコビルなのだそうだ(wikipediaより)
と言えば、二人が大量に入れた結果、どうなっているか、想像できるのではないだろうか?
勿論結論は『良い子のみんなは決してマネをしてはいけないよ!』という事である。
さて話を戻して、絶対にマネをしてはいけない
「うーん、こんなものよね? 妹ちゃん」
「問題ないだろう、リーン?」
「なら、ミキサーで混ぜようか?」
「ふむ、それがいいだろう」
疑問の文字すら浮かべず、回るミキサーの中は、勿論真っ赤だ。
血のように真っ赤な唐辛子の粉末が、液体を赤く染め、生のニンニクは切り刻まれたことにより、香ばしくて強烈な匂いを
それは当然。
「うう、匂いが……私、ニンニクの匂い、苦手ですのに……」
「う、目が……目が……。 目が痛い……ぞ……!」
椅子の上に寝ている、ローグとシノが苦しめる事になるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます