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「まぁ話を詳しく言うと、不審者が現れてバットを振り回して襲い掛かってきたと。 そこでローグ君は彼女を守りながら戦ったらしいんだけど、一瞬の油断からバットが腹部に当たりそうになったらしくてね。 その時シノちゃんがローグくんを突き飛ばして代わりに……って訳さ。 結局犯人は捕まったが、シノちゃんは重症、アレは一時新聞に載ったよ……」
「へぇ……」
「そして一命は取りとめたシノちゃんだけど、多分その時の恐怖とかもあったのかもしれない。 それ以降スタンガンを肌身離さず持っている様になったらしいよ。 これは僕の感だから、ホントの所はどうだか分からないけどね。 でも、だからこそ彼女を悪く思わないでほしい……」
「…………」
「…………」
流れる暗い雰囲気、沈黙がそれをより一層感じさせる。
だが、リーンはその雰囲気には耐えられないようで、何だか困った表情を浮かべている。
そんな様子を見たサンタモニカは「暗い話はおしまい! 別の話をしよう!」と言って別の話を始める。
「ところでリーンちゃん、スライム達、上手く買い取ってくれる相手見つかった?」
「うーん、まだかな? ただモニさんが渡してくれたブラックリストに載っている連中は何度か接触しようとしてきたけど、なんとか大丈夫!」
「まぁ、俺も定期的に見に来るかな? ああいう連中は何をしだすか分からないからね」
「心配してくれてありがとうモニさん。 ふっふーん、でも魔法が使えない人間なら襲るに足らず! 弱点もバレてないから、私の変身する力で容赦なく追っ払っているから安心して!」
「少女が怪物になったって通報、やっぱり君だったのか……。 幸福を売ってくれた事、ありがとうと感謝しておくよ」
「幸福? 売る? ん?」
「それはね……」
そこから、サンタモニカは感謝を口にした理由を述べ始める。
それはここ数週間の電話の数々にある。
『助けてくれ! 化け物が出た! 自白する、自白するから!』
『怪獣だ、怪獣が出た! 助けてくれたら何だって話す! だから助けてくれ!』
『お、俺はおかしくなったのかもしれない! それでもいい、助けてくれ!』
それは犯罪者達がリーンが変身した怪物の姿に驚き、そしてその恐怖から警察に保護を願い出た言葉。
お陰で警察署は始まって以来の大忙しなのだが、その対応のメンドくささを事前に感じ取ったサンタモニカは『怪物の調査』と言う理由を先んじて確保し、そしてその
そして……。
「だからね、今とっても幸せでさ~、だって合法的にサボれ……」
「見つけた宮城さん、今クソ忙しいんスよ! ほら、警察署に戻りますよ、と言うかやっぱりサボってたんですね!」
「た、高岡君!? お、おっさん警察じゃないよ~、人違い人違い、ワタシイタリア人デース」
「何をアホな事を言ってるんですか、ほら行きますよ!」
「あ~れ~……」
そしてそんなサボリ魔は、以前は若かった後輩の刑事、高岡に引きずられサンタモニカは去っていく。
それを、何とも言えない表情でリーンは見つめ。
「幸福を……売る、ねぇ……」
そんなリーンの口から、ポロリとそんな言葉がもれた
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