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「ところでさ、モニさん……」
「ん? 何よリーンちゃん?」
「あの二人って、相思相愛なの?」
「そうだよ、だからローグ君はシノちゃんの店に毎日通ってるし、シノちゃんはローグ君がいつ来てもいい様に、ピザの準備はしっかりしているからね」
「へぇ……」
リーンは、二人が自身の想定を超える関係であった事に、つい驚きの言葉を小さく漏らす。
だが、その驚きは次への疑問を生む種になり、彼女はその疑問をサンタモニカに問いただす。
「なら何で、二人は付き合わないの?」
当然の疑問だが、これをサンタモニカは。
「これは刑事としての感だけど……」
とやや不正確な言葉の始まり方で、リーンに話しはじめる。
サンタモニカがそんな言い方で話したのは、あくまで真実としての形を成していない為、そしてそれは彼の本質として、そういう言い方になったのである。
そして、彼は刑事として、そして付き合いのある彼らの事、それを珍しく真面目な顔に切り替え、話し始める。
「シノちゃんは単純に素直じゃないだけかな。 表はあんなだから強気に見えるかもしれないけど、根は恥ずかしがり屋で不器用だから、きっと。 だから『好き』なんて口に出来ないし、結局不器用で遠回しな態度でしか表せないのだろうね」
「…………」(アレって不器用って言うレベルなの?)
「そしてローグ君、彼も告白は無理だと思うよ。 なにせ彼は……」
「彼は?」
「昔、結果的にシノちゃんに守られて、ケガさせちゃったって負い目があるからね」
「え?」
当然、驚くリーン。
そんな彼女に対し、サンタモニカは両手を組んで昔話をやや暗い口調で始めた。
…………。
あれは、出会ってから3年くらいたった頃かな?
まぁあれから何度も取り調べする事があったから、そのうち彼の専門取り調べ役みたいになってさ。
自然と仲良くなっちゃってね。
ただ、彼と付き合いだして分かったのが、彼は仲間の為だけに喧嘩していたってだけで、自分から喧嘩を吹っかけて、騒ぎを起こす様な奴じゃないって分かってね。
いやぁ良い子だったのよ、ローグ君。
そう思い始めたある日……、あの日は熱い夏の日が沈んだ夜の事だったかな。
夜に
その日も
とうぜん俺は、やさしく声をかけた訳よ!
「お、少年~! こんな夜に女の子と二人で
「うっせぇ! つーか、おっさん何の用よ!」
だけど、その女の子、真面目でさ~。
とっても可愛くて委員長タイプかな、そんなローグ君に。
「立花君! 年上にそんな失礼な口調はいけないわよ! あ、どうも申し遅れました。 私、立花君の同級生で桜井シノと申します、よろしくお願いしますね」
なんて怒りつつ、自己紹介して……。
…………。
「ちょっと待って! シノって、ええ!? シノの事!?」
「そうだよ」
「ええ、嘘だ、絶対嘘だ~!」
「ホントだよ」
あまりの衝撃の大声を上げて驚くシノ、そしてそんなシノの言葉に、にこやかな表情で答えるローグ。
そして当然、彼女はとある疑問を投げかける。
「じゃあ何でシノは今、あんな口が悪いの!? 凶暴なの!?」
「そりゃあ彼女、僕と別れたあの後に、ローグ君が不審者に襲われたらしくてさ。 その時庇って頭をバットで殴られたんだって。 その後からあんな感じらしいよ」
「へ、そうなの? ならば……」
「ならば?」
「バットでシノを殴れば、良い人に戻るって事?」
「君は新手の自殺をしたいのかな?」
だが、その疑問の結末は犯行予告であり、高度な自殺をほのめかす言葉を生んだ。
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