6.不良刑事

 「ところで、シノちゃんの気持ちに答えないのかい?」


 サンタモニカからのこの一言を不意に受けたローグは何も言葉が出なかった。

 そんな様子をしばらく眺めていたサンタモニカは続けて。


 「おっさんに話してみなよ、楽になるかもよ?」


 二ヤリと微笑みながら、普段の態度からは信じられない言葉を口にした。

 だが。


 「人の家を覗く不良刑事には言いたくないんだが?」

 「それは市民を見守るボランティアスニーキングって言ってほしいんだけどさ……」

 「市民を見守るボランティアって、女の下着をのぞく事や女を付け回すストーキングの事を言うのか?」

 「あれは見守る役得みたいなものだからさ……」

 「おまわりさーん、ノゾキです」

 「あのねぇ、そんな堅物だと人生大変だよ? 堅物だと俺みたいなナイスガイになれないゾ」

 「おっさんみたいに、ユルユルなノゾキ野郎はダサいだろ?」

 「俺は良いの、そのおかげで所帯持ちラブラブになれたんだから」

 「ホント、離婚すればいいのに……」


 結局日ごろの態度が物を言う。

 幸福な時間が終われと口にしながら苦々しい顔でローグは右を向く。

 そして、そう右を向きながらも。


 「と言うか、おっさん何となく分かってるだろ?」


 そう問いかける、そして。


 「そりゃあね」


 サンタモニカは淡々とそう口にする。

 こんな独特の二人、意外な事だが付き合いはシノより長かったりする。

 そう、それは10年以上前から……。

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